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三菱電機が5G基地局用アンテナを試作、人工衛星開発技術も活用

 三菱電機は8日、5G(第5世代移動通信方式)基地局向けの技術検証として、多素子アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ(Active Phased Array Antenna、以下APAA)の試作機を開発したと発表した。

「多素子アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ」の実験イメージ図

 5Gは早期実用化に向けて、各国の通信関連企業が技術開発を進めている。国内では、NTTドコモが2020年のサービス開始を目指し、アルカテル・ルーセント、エリクソン、富士通、NEC、ノキアネットワークス、サムスンの6社との間で協力体制を築いていたが、三菱電機も2014年12月になってこれに参画した。

 モバイル通信のトラフィックは近年増大しており、5Gでは周波数利用効率をさらに高める必要があるとされる。三菱電機が今回試作したAPAAは、5Gのキーテクノロジーである「マルチビームフォーミング技術」の活用を想定したもの。多素子アンテナを用いて4つのビーム(信号電波)による空間多重を実現したほか、垂直・水平方向の2次元ビーム走査が可能という。また、周波数帯は現在のセルラー通信の上限周波数帯である3.5GHz帯を使用している。

 三菱電機では、人工衛星開発などの分野でAPAA技術を蓄積しており、これを5G基地局にも展開させたいとしている。なお、試作したアンテナは、米国で開催される「Brooklyn 5G Summit」にて、ノキアネットワークスと共同でデモを実施する予定。

森田 秀一