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ソフトバンク、空飛ぶ基地局「HAPS」試験サービスを8月中旬以降に開始 米国から太平洋横断
2026年7月23日 19:56
ソフトバンクは、成層圏から通信ネットワークを提供する「HAPS(High-Altitude Platform Station)」の試験サービスを8月中旬以降に開始する。米国から機体を打ち上げて日本上空まで飛行させ、災害時を想定した通信試験や地上ネットワークとの干渉などを検証する。
空飛ぶ基地局で大容量通信を提供
HAPSは、気流が安定した高度約20kmの成層圏に無人航空機を滞空させ、上空から地上へ向けて携帯電話網のエリアを構築する技術。災害時でも途絶えない通信環境の構築や、山間部などでのデジタルデバイド解消が見込まれている。
ソフトバンクは、地上ネットワークと非地上系ネットワーク(NTN)を融合し、あらゆる場所で最適な通信を提供する「ユビキタストランスフォーメーション」構想を推進している。
先行して4月にサービスを開始した「SoftBank Starlink Direct」は広域をカバーし、これまで圏外だったエリアで中・低容量の通信を提供するのに適している。これに対しHAPSは、1機で直径最大200kmの範囲に、地上の携帯サービスと同等の高品質・大容量通信を提供する点が特徴。
災害対応においては明確な役割分担が想定されており、発災直後は広域をカバーするStarlink Directでテキスト中心の通信をいち早く確保し、その後HAPSが現場に駆けつけて音声や映像を含む大容量通信を復旧させるという連携を見込む。
米国から日本へ、約2週間かけて飛行し実証試験へ
今回の試験サービスで使用される機体は、米国ニューメキシコ州のロズウェルにある格納庫から打ち上げられる。機体は太平洋を横断し、気象条件にもよるがおよそ2週間かけて日本の上空へ移動する。米国からの移動中は、衛星通信を介して機体のコントロールが行われる。
同社技術統括 プロダクトR&D本部 ユビキタスネットワーク企画統括部 統括部長の上村征幸氏によると、将来的な国内運用を目指しているものの、現時点では日本国内に全長65mの機体を収容できる格納庫の準備が間に合わなかったため、米国からの打ち上げという手段が選ばれたという。
実証の候補地としては、南海トラフ地震などの大規模災害を想定し、当時の気象条件に合わせて高知県、近畿、九州、東北などから最適な場所を選定予定。すでに高知県内の高台には、上空のHAPSとソフトバンクのコア設備を接続する「地上ゲートウェイ」の設置が完了している。
試験サービスでは、日本の気象条件下での飛行性能のほか、音声通話・SMS・データ通信などの通信性能、周辺の地上通信網への干渉影響などを確認する。常に移動し、ピッチやロールなどの傾きを伴うHAPSを、地上設備から瞬断なく自動で正確に追尾できるかが技術的なポイントとなる。
なお、3月末に米国で実施されたテストフライトでは、88時間以上の停点滞空(誤差1km以内)や、ソーラーパネルとバッテリーによる電力サイクル稼働など、基本的な機体性能はすでに確認済み。さらに、米国にあるHAPS搭載予定の基地局と日本のコアネットワークを接続し、スマートフォンを用いたエンドツーエンドのネットワーク試験も無事完了している。
将来のビジネス展開と課題
将来の運用モデルについて、災害発生時に急遽機体を打ち上げるのではなく、平時から一定のエリア(直径10km〜20km程度)を周回移動しながら日本上空に待機させる方針を示した。これは機体が太陽光を浴びて温度上昇するのを防ぐ目的もあり、常に移動しながら稼働する。
平時には、通信容量が不足しているトラフィック密集地の補完や、官公庁向けサービス、リモートセンシング用途などでの活用が検討されている。また法人向け(B2B)として、衛星通信では難しい「上りの高速通信」を活かし、ドローンの遠隔制御やリアルタイムの高画質映像伝送での利用も見込まれている。サービス開始当初は、災害時の「移動基地局」が上空に上がったものという位置づけから、ソフトバンクユーザー限定での提供となる見込み。
今回の試験における機体の滞空期間は1週間〜10日程度を予定しているが、来年以降は今年のデータをもとに数カ月から半年といった長期滞空を目指す。台風への対応については、成層圏に台風そのものは存在しないものの、下からの吹き上げる風によって機体が意図しない高度へ押し上げられるリスクがある。そのため、進路を予測して影響のないエリアへ退避させるなど、安全最優先の運用体制を構築する。


















