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すれ違うトンネル内でも高速通信、ドコモらがミリ波分散MIMOの新技術
2026年5月25日 12:43
NTTドコモとNEC(日本電気)は、NTTと共同で、40GHz帯の大容量ミリ波通信において、複数の高速移動車両で同時に安定した通信ができる技術を開発したと発表した。大容量ミリ波通信は6G時代での活用が見込まれている。
NTTドコモ、NEC、NTTの3社は、実大トンネル実験施設での実証実験を3月に実施した。対向車線を走行する2台の無線端末車両が、高速かつ安定した通信を維持し、平均スループットを従来比で約1.3倍向上させることに成功した。
この技術は、基地局から複数のアンテナを分散配置する分散MIMO技術に加え、信号の送信周波数と送信タイミングを事前補正する技術を活用している。
新技術の開発背景
自動車や列車などでの高速移動中は、ミリ波のような高い周波数帯で通信を行う場合、基地局の切り替えが頻繁に発生する。これにより、電波を発する無線端末が動いているときに変化する「ドップラー周波数」や伝搬遅延が急激に変化し、通信品質が低下する。
NTTドコモ、NEC、NTTの3社は以前からこの問題に取り組んでいた。2025年3月には、高速移動車両1台に対して基地局側で送信周波数と送信タイミングを補正することで、通信品質を安定させる技術の実証に成功した。
今回の実証は、この技術を発展させたもので、対向車線を高速で走行する2台の車両が同時に通信する条件下においても、通信品質低下を抑える技術となる。
新技術の特徴
今回の通信技術は、基地局のアンテナごとに各無線端末車両から送られる「上り参照信号」をもとに、それぞれの無線端末車両に適切な送信周波数や信号の送信タイミングを事前推定する。
多重化する信号を無線端末車両ごとに事前補正したうえで、合成して送信することで、複数の無線端末車両におけるアンテナ切り替え時の受信周波数や受信タイミングの差を同時に解消する。これにより、複数の無線端末車両に対するミリ波大容量通信の安定化を実現した。
実験内容と結果
実証実験は、3月26日~27日に国土交通省 国土技術政策総合研究所内の実大トンネル実験施設で実施した。高速移動環境を模擬するため、基地局の分散アンテナを道路の片側に150m間隔で3台設置し、2台の無線端末車両をそれぞれ時速60kmで対向車線を走行させ、下りリンクの伝送実験を実施した。
2025年3月の実証実験よりも複雑な条件の環境において、車両側だけで受信周波数や受信タイミングを補正する従来技術と、従来技術に加えて基地局側でも車両向けの信号ごとに事前補正して送信する新技術を比較。無線端末車両2台の合計スループットを検証した。
今回の実験では、電波がトンネル内で反射し、走行中のアンテナ切り替えが頻発した。従来の技術だけを適用した場合は、アンテナ切り替え時の合計スループットが550Mbps→110Mbps程度に低下し、走行30秒間の平均スループットは430Mbps程度だった。
対して、新技術を適用した場合はアンテナ切り替え時のスループット低下を抑制でき、安定して380Mbps以上のスループットを維持した。平均スループットは560Mbpsとなり、従来技術と比べて約1.3倍に向上した。加えて、累積分布関数における下位5%値のスループットも、従来の270Mbps→480Mbpsと約1.8倍向上した。
新技術の展望
3社は、次世代通信規格「6G」の社会実装に向けた技術的な基盤につながると説明。将来的に、移動中の車内でも楽しめる大容量コンテンツ、あるいは遅延を抑える必要がある生成AIのリアルタイム翻訳、協調型自動運転向けのセンサーデータの連携などに活用できるとしている。
なお、実証の模様や成果について、「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2026」(5月27日~29日、東京ビッグサイト西3・4ホール XGモバイル推進フォーラム展示)と「つくばフォーラム2026」(5月27日~28日、NTT筑波研究開発センタ R-1会場 NTT展示)で展示する。



