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グーグル、視覚障害者のランナーをガイドするAIエージェントを発表
2026年5月21日 14:48
米グーグル(Google)は現地時間20日、視覚障害をもつランナーを支援するAIアシスタント「ランニングガイドエージェント」を発表した。胸に装着したスマートフォン「Pixel 10 Pro」のカメラで前方の経路を捉え、音声フィードバックを通じてユーザーを誘導する。
今回発表されたランニングガイドエージェントは、2020年に米国で始まった、視覚障害をもつランナーをサポートする取り組み「Project Guideline」の一環。
Pixel 10 ProとGemma 4 E4Bでオンデバイス動作
グーグルのAndroidスマートフォン「Pixel 10 Pro」を使用して前方の経路を認識し、音声フィードバックでユーザーを誘導する。高速なアクティビティには高い信頼性が求められるため、オンデバイス型かつ「Gemma 4」を活用したデュアルパス構造で構築されている。
クラウド型のAIではなく、Pixel 10シリーズの専用チップセット「Tensor G5」上でAIモデルを動作させるため、AIの反応速度が超低遅延となる。即座に「停止」のアラートや「カチカチ」という音での方向指示を発信できるため、携帯電話の接続がなくても、ランナーの方向感覚を維持できる。
また、オンデバイス処理用のAIモデルには「Gemma 4 E4B」を活用する。Gemma 4 E4Bは画像などのマルチモーダル入力が可能なモデルで、デバイス上で高度なシーン理解ができる。
処理の遅延を抑えるため、AIモデルはすべてのフレームを処理するのではなく、急激な地形の変化や新たな障害物といった「エントロピーの高いフレーム」のみを分析する仕様となっている。これにより、ユーザーへ高速かつ関連性の高い指示が可能となる。
「マルチエージェント」の仕組み
ランニングガイドエージェントは、3つのエージェントが連携してランナーをサポートする仕組みとなっている。
プランナーエージェントは、天気やGoogleマップのデータを取得し、ランナーとの対話を通じて目標を設定し、スタート地点を調整する。コーチエージェントは走行中に簡潔な音声アラートを提供し、状況を「危険(即時の回避が必要)」「警告(近くのランナーや障害物)」「注意(前方のカーブ)」の3段階に分類して伝達する。また、休憩エージェントによって休息間隔が管理され、セッションの任意のタイミングでの一時停止や再開が可能。
スマートグラスでのプロトタイプ開発とテスト体制
Pixel 10 Proを胸部に装着することで、スマートフォン本体のカメラを用いたガイドが可能だが、カメラ付きのスマートグラスを用いたプロトタイプの開発も行われている。
より広く安定した視野を持つカメラ付きのスマートグラスからPixelスマートフォンへカメラの映像を入力し、AIモデルが処理するデータを最適化できる。
今回の開発にあたっては、シンガポールの障害者支援機関であるSG Enableと提携した。視覚障がいのあるランナーとエンジニアリングチームが直接連携してテストを実施することで、ユーザーのニーズに沿った機能改善が進められた。遅延のないエッジ処理により、アスリートが自信を持って走ることができる環境の実現が目指されている。


