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目が不自由でもスマホの便利さを、KDDIが視覚障害者向けにスマホ教室
2025年6月20日 20:30
音声でスマホを操作、「シール」も体験
20日に藤沢市で開かれた体験教室では、男女2人が参加。参加者らは、iPhoneの「ボイスオーバー」機能で電話をかけたり、音声入力でLINEのLINEのやりとりをしたりするなど使い方を学んだ。
新たに、KDDIの「スマホ操作サポートシール」も登場。「スマホ操作サポートシール」は、スマートフォンのディスプレイに貼り付けるシールで、指で触るとわかる凹凸がある。指で触るだけでどこに何が表示されているのかのヒントになる。
教材として用いられたのはアップルの「iPhone 16e」。LINEで音声による文字入力でメッセージを送信したり、着信に出たり、また電話帳に登録のない番号からの着信に折り返すといった日常で実際にありがちな状況を想定した操作を体験。Apple Intelligenceのビジュアルインテリジェンスで食品パッケージの情報を読み取る操作も学んだ。
途中、「スマホ操作サポートシール」を貼り付けた端末に取り替えて、実際に試す場面もあった。教材のアプリなど、体験の内容は毎回変わる。参加者のひとりは、スマホ教室の体験を終えて「(スマホのことで)わからないときに、身近なところで教えてくれる場所が広がるといい」と感想を語った。
スマホ利用の障壁をなくす
視覚障害者向けのスマホ体験教室は2022年2月にスタートした。そのきっかけは、視覚障害者からの要望だったと、KDDI 首都圏総支社 南関東管理部 佐嶋稔氏は話す。シニア向けや聴覚障害者向けのスマホ教室はあったものの、視覚障害者向けには開催していなかった。
日本眼科医会の予測では、視覚障害者の数は2030年までに200万人に達する。災害時における視覚障害者の死亡率は健常者の3倍にものぼると言われており、佐嶋氏は「視覚障害者にとって、スマホが生活を豊かにする、命を守る道具に」と、視覚障害者向けスマホ教室が目指すゴールを話した。
人は情報の大半を視覚から得るとされるが、目が不自由な視覚障害者にとって、コミュニケーションのハードルは高い。一方でスマートフォンは他者とコミュニケーションをとるためのツール。使いこなせれば、生活の質の向上につながる。
スマホ教室で題材にするアプリはその時々により異なり、LINEなどコミュニケーションアプリ、ラジオ聴取アプリなどがある。受講者の要望も取り入れており「動画を聴く」という需要から、YouTubeのリクエストもあったという。
視覚障害者向けのスマホ教室開始前、ヒアリングした視覚障害者からは「スマホを教えてくれる人がいない」「教えてくれる場所がない」「何が使えるのかよくわからない」という声があったという。KDDIの視覚障害者向けスマホ教室は2022年の開始から、およそ60回、延べ500人以上受講と実績を積み重ねてきた。
佐嶋氏は「教える側の人員をもっと増やしたい。藤沢市点字図書館ともいろいろと話をしているが、ボランティアにも参加してもらえれば、より多くの視覚障害者にスマホの使い方を伝えられる」と今後への期待感を語った。
スマホ操作サポートシールは、auとUQ mobileのユーザーはサポートセンターに電話すると無料で受け取れる。au Styleの直営店であるau Style SHINJUKU、au Style みなとみらいでも配布している。
【お詫びと訂正】
記事初出時、登壇者名に誤りがありました。お詫びして訂正します。