ニュース
ソフトバンク、宇宙~地上間の光無線通信に向けNICTらと連携協定
2025年10月17日 15:00
ソフトバンクは、情報通信研究機構(NICT)、清原光学、アークエッジ・スペースと、宇宙と成層圏間および宇宙と地上間の光無線通信の実証に向けた連携推進協定を締結したと発表した。この連携では、光無線通信装置の開発を進めるとともに、人工衛星や成層圏通信プラットフォーム(HAPS)への搭載を目指す。
2026年に低軌道衛星、2027年にHAPSでの実証へ
4者は、まず2026年に実証用の低軌道衛星(LEO)を打ち上げ、宇宙と地上間での光無線通信の実証に挑む。続く2027年には、世界的にも先進的な取り組みとして、HAPSに光無線通信装置を搭載し、宇宙と成層圏間における双方向の光無線通信を検証する計画。
光無線通信装置と低軌道衛星の特徴
光無線通信装置は、小型・軽量・低消費電力でありながら、10Gbpsの高速な双方向通信を目指す。また、放射線にさらされる宇宙空間や、-90度を下回る成層圏の過酷な環境でも動作するよう改良を重ねているという。
実証に用いる低軌道衛星は、6Uサイズ(10cm×20cm×30cm)の超小型衛星。汎用性のある設計をベースに、光無線通信に不可欠な高精度の姿勢制御技術を採用する予定。
宇宙と成層圏間の光無線通信の実証に向けた背景
衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワーク(NTN)によるサービスを支える次世代の高速通信技術として、光無線通信が注目されている。電波ではなく光を利用するため、周波数帯域の割り当てや無線局免許などのライセンスは不要で高速通信が実現できる。
すでに衛星間の通信で実用化が始まっており、今後は地球観測データの即時リレーや、インフラ未整備地域の接続、災害時の早期復旧、大陸間の低遅延なネットワークとしての活用など、迅速かつ大容量のデータ伝送と柔軟なネットワーク展開を実現する技術として期待されている。
一方で、非常に細く直進性の高いビームを用いるため、通信を確立・維持することが技術的な課題。2027年に予定している実証では、成層圏を滞空するHAPSと、低軌道を高速で周回する低軌道衛星間で、通信距離が最大2000km程度におよぶなかで双方向の光無線通信をおこなう。非常に難易度が高い実証になるという。
- NICT
- 宇宙および成層圏環境に対応する光無線通信装置の開発や、大気中での光無線通信の回線設計、光地上局の開発・運用。
- 清原光学
- 宇宙および成層圏環境に対応する光無線通信装置の開発および製造。
- アークエッジ・スペース
- 超小型衛星バスの設計・開発、衛星打ち上げロケットの調整、衛星の運用。
- ソフトバンク
- 成層圏環境に対応する光無線通信装置と周辺機器の開発、HAPSのフライトおよび装置・機器のインテグレーション。




