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ソフトバンクと東京海洋大学が世界初の実証に成功、自律動作するトラッキング式水中光無線通信機を開発

 ソフトバンクと東京海洋大学の研究チームは、陸上から水中の遠隔操作ロボットに光無線通信経由で指示を与え、リアルタイムに制御する実証実験に成功した。

 近年では、海洋国家である日本の沿岸・離島地域における水産業や海上輸送の高度化、洋上風力発電などの新産業や海洋観光など、海域利活用の発展を目指していく上で、水中無線通信ネットワークへの期待が高まっており、各国で大容量・低遅延の可視光を使用した無線通信技術を水中の通信に適応する研究が行われきた。

 両社は、このような研究にあたって、水流などの影響により姿勢の保持が難しい水中航走体などに対し、大容量・低遅延の無線通信が可能な光無線通信の安定的な通信を実現する技術として、画像認識によるトラッキング技術に着目し、共同研究を進めてきた。

 今回の実証実験では、画像処理技術や精密制御技術を駆使して、水平方向に約60度、垂直方向に約60度の自動追尾性能を持ち、ROV(水中ロボット)本体から有線接続で独立して動作するトラッキング式水中光無線通信機を開発。

 これにより、照射角7度の可視光無線通信機を使って、全長50mの船舶運航性能実験水槽の水深約1mで、2台の通信機(親機と子機)が互いを捕捉して自動で光軸を合わせ、それに加えて、子機に接続されたROVを陸上のパソコンから操作する実証実験を行い、世界で初めて成功させた。

 今回の実験結果より、自律動作型のトラッキング式水中光無線通信機を使用することで、水中航走体を安定的に制御できるようになった。今後は、海底ステーションと水中航走体のドッキングやデータ通信、有人潜水船から小型の航走体を発進させて狭小部を調査する技術、海底地盤の高精度な変化計測など、さまざまな分野での活用が見込まれるといい、さらに実験を進めることで、大きな経済効果も期待されるという。