ニュース

Snapdragon X Elite搭載の“AIエージェントPC”が登場、元楽天モバイルのタレック・アミン氏のHUMAINから

 サウジアラビアの企業であるHUMAINは、クアルコム製のチップセットを用いて、「AIエージェント」に向けたノートパソコン「Horizon Pro」を発表した。米国ハワイで開催中のイベント「Snapdragon Summit」で披露された。

 サウジアラビア政府系のファンドの傘下であるHUMAINは、元楽天モバイル共同CEOのタレック・アミン氏がリードするAI企業。サウジアラビア王国におけるAIとデジタルトランスフォーメーションを主導しているという。

クアルコムのアモンCEO(左)とアミン氏(右)

 生成AIモデルの構築を目指すほか、データセンター事業なども見据えているとのことだが、今回は企業(エンタープライズ)向けのデバイスとして、「Horizon Pro」が発表された。

熱量を込めて語るアミン氏

 Windows 11に、独自のAIエージェントを組み合わせた「Humain One OS」を搭載。1TBのSSD、32GBのメモリーを内蔵し、最大18時間駆動する。チップセットは「Snapdragon X Eliteファミリー」とされており、最新の「X2 Elite」「X2 Elite Extreme」、あるいはそれより前のSnapdragon X Eliteかは明言されていない。

 クアルコムと9カ月にわたって共同開発が進められ、「2.8Kのサムスン製OLEDディスプレイを採用するなど、プレミアムなデバイスを追求する。しかし価格は、プレミアムにしないこと」を目指して開発された。

 アミン氏は、PCメーカーになるためではなく、未来のユーザー体験を再定義するために開発したと説明。デバイスに話しかけて、休暇の申請、会議のスケジュール設定、NDA(秘密保持契約書)の生成、給与計算といったタスクを、特定のアプリに移動することなく実行できるようにしているという。

 HUMAIN独自の生成AI基盤モデル(Foundation Model)がデバイス上で処理され、セキュリティ強化にもつながっているという。アミン氏は「特に政府、石油・エネルギー、金融サービスにとって、LLM(大規模言語モデル)をローカルデバイスで実行するほど安全なものはない」と述べた。

 同氏は「特定の業務には、大規模モデル(LLM)よりも、高品質なデータでトレーニングされたスモール・ランゲージ・モデル(SLM)がより適しているという理論を支持する。SLMはデバイス上で実行されるべきだ」と解説する。

 ローカル上にはない情報、知識が必要な場合は、モバイル通信経由でクラウドへアクセスできるようにしている。

 「Horizon Pro」は、製品単体の販売ではなく、ハードウェアとソフトウェアをエージェントプラットフォーム上で提供するサブスクリプションモデルというビジネスモデルになるという。そのため、競合製品よりも40%安くなるとアミン氏は語っていた。