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KDDIが「全国ドローン1000カ所配備」石川県から年度内開始へ、松田社長らが語る
2025年6月2日 00:00
災害発生時や事故発生時に、人間よりも先にドローンが駆けつけて対応する社会の実現に向け、KDDIとKDDIスマートドローンが、ドローンの常時配備を始める。年度内にも石川県から始める方針で、全国1000カ所に配備できれば、およそ10分で駆けつけられるという。
有事も平時も、「フェイズフリー」でドローン普及
KDDIは、ドローンの社会実装を進める考え方として「フェイズフリー」という構想を示している。ドローンは災害時の捜索活動などでの活用に期待されているが、いつ来るかわからない災害のためにコストをかけることは難しいことから、平時もドローンの活用を見込んで、インフラ点検や警察活動などに用途の幅を広げることで、導入のハードルを下げる。
KDDI 代表取締役社長CEOの松田浩路氏は「ドローンを全国に1000カ所配備すれば、およそ10分以内に駆けつけられる」と将来像を示していた。KDDIスマートドローンが取り扱いを始める「Skydio Dock for X10」により、さまざまな場所にドローンを常設できるようになるため、全国配備にも実現性が高まる。KDDIスマートドローンでは、Skydio X10で建設現場などの巡視、石川県警と災害時の活用で検証を行っている。
29日、KDDIスマートドローン主催のイベント「KSD CONNECT 2025」に登壇した松田氏は全国配備実現のポイントとして、前述のポートが実現する「常時設置」が重要と説明。また、遠隔操作を可能にする「通信インフラ」、1人で複数機を監視できる「オペレーション」の3つを必要な要素としてあげ、体制構築を進める。
能登から配備を始める
ドローンの常設設置場所としては、警察署や消防署など公的施設のほかにコンビニなどが想定されている。公共施設はドローンポートの候補として有力な候補という。加えて、コンビニなど民間の建物も活用していく。
KDDI スマートドローン 代表取締役社長の博野雅文氏によると、ポート設置にかかるコストについてはあり方を検討中で、KDDIが所有して設置、サービス料として支払いを受けるといったかたちが浮かんでいるという。平時と有事の活用を組み合わせるビジネスモデルの構築が目下の課題で、博野氏は「チャレンジング」としながら、通信インフラや機体など必要なものは揃いつつあるとして、事業化を目指す。
ドローンの常設配備は、石川県・能登から進める2025年度内にも始める予定。そのほかの地域についても災害リスクの高い地域を抱える自治体からの引き合いがあり、話し合いを進めているという。2025年中には、モバイル通信が利用できない場所でのドローン飛行に向けて衛星ブロードバンド「Starlink」と通信して運用する仕組みの実証を始める。