石川温の「スマホ業界 Watch」
iPhone向け「iOS 18.4」が近日登場、日本語対応の「Apple Intelligence」を試してみた。
2025年2月25日 06:00
アップルは、「iOS 18.4」の開発者向けバージョンの配布を開始した。「iOS 18.4」にはApple Intelligenceの日本語対応も含まれている。今回、開発者向けバージョンを試用し、記事化することが特別に可能となった。開発者向けバージョンということで開発中であり、4月まで一般に公開されない。
まず、Apple Intelligenceの恩恵を感じるのメールなどの文書関連だ。
メールの一覧やメールを開くと「要約する」というメニューが表示されるので、タッチすると一覧であれば、それぞれのメールに何が書いてあるか、1行で確認できるし、メール本文であれば重要な場所を抜き出してくれる。
筆者の場合、記者会見の案内メールがとても多いのだが「要約する」を選ぶと、記者会見のタイトルと日時、さらにいつまでに参加可否の返事メールを送ればいいかをキチンと教えてくれる。普段から、可否のメールを出さすに催促をもらうことが多いので、本当に助かる機能だ。
また、メールを書く際には、伝えたいことを殴り書きするだけであとはApple Intelligenceの「プロフェッショナル」という項目を押すとビジネス風のメッセージができあがるし、「フレンドリー」を選べば、友達に送るようなカジュアルな文面ができあがる。
ちなみに「花見 案内 3月29日 12時集合 多摩川の土手」と入力したところ、かなり簡素な文面しかできなかった。しかし、ここで役に立つのがChatGPTだ。同じメール作成の画面には下の方にChatGPTにお任せできる項目が存在する。
ここで「同僚への案内メール」と打ち込むとちゃんと挨拶文も入ったメール文書が完成するのだ。
Apple Intelligenceはアップルの方針でオンデバイスAIとして、デバイス内だけで処理することでユーザーの個人情報を守るというポリシーがある。一方で、それだけではやれることが限られるので、より高度な処理を求めるときはChatGPTに投げる、ということが可能となっている。
今回もChatGPTに任せたことで、ようやくまともなメールができあがったというわけだ。
ちなみにChatGPTはすでに自分が所有しているアカウントを登録することが可能だ。また、より高度な処理をお任せしたかったら、iPhoneから「ChatGPT Plus」にアップグレードすることもできる。
一気にかしこさが増すSiri
さらにApple Intelligenceの恩恵を実感できるのがSiriだ。
Siriは音声アシスタントとして、2011年に華々しく登場したものの、ユーザーの期待にあまり応えることはなく、お世辞にも賢いといえる存在ではなかった。しかし、Apple Intelligenceにより、実に賢く、まるで人間のように頼れるパートナーになってくれたように感じる。
本体側面のボタンを長押しするとSiriが起動する。画面の縁が虹色に光るので、そのタイミングで話しかける。
例えば「ソフトバンクの株価は?」と聞けばすぐに答えてくれるだけでなく、直後に「NTTは?」と聞けばすぐにNTTの株価を教えてくれる。何度も「株価は?」と聞かなくても、文脈を判断して、答えを教えてくれるのだ。
さらに「株価チャートは?」と聞くと、Webを検索するか、ChatGPTに問い合わせるかの選択肢が出てくる。ChatGPTはリアルタイムの調査には不向きなので、Webを選ぶと、グーグルで検索した状態となり、最新の株価チャートをすぐに見ることができるというわけだ。
また、メッセージなどで「懇親会の日付、3月11日はどうでしょうか」といった内容が届いた場合、まずSiriに向かって「この予定、空いている」と聞くと、その日のスケジュールを開き、別の予定が入っていないか、教えてくれる。さらにそこに予定を入れようとすると「重複するが大丈夫か」と心配してくれるのだ。
Apple Intelligenceにより、画面に表示されている日付や日時を理解しているので、スケジュールの確認や記入が実にスムーズに行くのであった。
これまで、Siriに散々裏切られ、すっかり疎遠になってしまっていたが、Apple Intelligenceが使えるようになった際には、積極的にSiriに声かけしたいと思う。
また、Apple Intelligenceによって、ボイスメモの日本語テキスト起こしが可能となった。
仕事柄、インタビュー相手の声を録音し、あとでテキスト起こしするでの、この機能はまさに待望であった。ただ、実際にiPhoneでやったみたところ、頑張ってはいるものの、精度はもうちょっと努力が必要な感じであった。話者の識別も欲しいところだ。
テキスト起こしに関しては、Google Pixelのほうが、長年、手がけていることもあり、「実績と信頼」があるといえそうだ。
Apple Intelligenceでは画像関連も強化され、例えば、写真では背後に移ったいらないものを除去できる、Pixelでおなじみの機能や、絵文字を写真やテキストから生成できる機能、イラストの生成なども可能だ。
「Playground」では、自分の写真に対して、様々なシチュエーションを簡単に組み合わせ、イラストを生成することができる。
実際にやってみたが、うちの8歳児は喜んで使っており、若い人のコミュニケーションツールとしてはそれなりに盛り上がりを見せそうだ。ただ、ビジネスパーソンが仕事の場で活用できるかといえば、かなり微妙かも知れない。
Apple Intelligenceを数日、使ってみたが、文書関連とSiriに関しては、すでに使い勝手はいいし、今後、さらになる進化も期待できることだろう。なかなか人前でSiriに向かって話しかけるのは勇気がいるが、iPhoneの操作体系を大きく変える可能性を秘めているといえそうだ。