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「iOS 18.4」デベロッパーベータ登場、「Apple Intelligence」がまもなく日本語環境でも利用できるように
2025年2月22日 08:53
いよいよ日本語でもApple Intelligenceが利用できるようになる。
アップル(Apple)は22日、iOS 18.4とiPadOS 18.4のデベロッパーベータ版をリリースした。近日、正式版が一般向けに公開されると見られる。機能拡充やセキュリティ機能の向上が図られるほか、日本語環境でも同社の生成AI「Apple Intelligence」が利用できるようになる。さまざまな機能やアプリにApple Intelligenceが取り入れられる大きなアップデートとなるが、そもそも一体なにができるようになるのか?
本稿では、あらためてApple Intelligenceでできることを紹介する。
自動で執筆、手なおしする“ライティングツール”
まずは、メールやメッセンジャーアプリなどで利用できる“ライティングツール”。あらゆるシーンでテキストを自動で執筆したり校正したりできる。
たとえば、メールアプリでは、相手からのメッセージに対してタップするだけで自動で返事を執筆する。また、相手から来たメッセージの要点をまとめてくれる機能もある。
また、文章を手直ししてくれる機能も搭載されている。たとえば、イベントの招待メールであれば、文章を選択し「もう少しワクワクさせる文章にしたい」とプロンプトを入力すれば、意図を汲んだメッセージに手直ししてくれる。
このほか、メールアプリでは多数のユーザーがCCなどでやりとりしているスレッド状態のメールを、未読メールだけ要約し、ユーザーがキャッチアップできる機能や、ユーザーにとって重要なメールを優先して表示するプライオリティメッセージ機能などを備える。
このライティングツールは、メールアプリやメッセージアプリ(SMS、iMessage)のほか、サードパーティアプリでもAPIを組み込むことで活用できる。
写真のクリーンアップ機能
写真の不要なオブジェクトを自然に消去できる“クリーンアップ機能”がiPhoneにも登場する。
写真の背景や隅の方に偶然写り込んでしまった他人やオブジェクトなどを、Apple Intelligenceが自動で認識し、ユーザーは消去したい物をタップするだけで、自動で消去。無くなってしまった箇所は、周りの風景に合わせて自然な形で生成され、違和感がない写真を生成できる。
Siriも進化、Chat-GPTとの連携も
音声アシスタント「Siri」にも、Apple Intelligenceが搭載され、言語の理解力が向上した。今晩の買い物のリマインドから、Web上での調べ物など日常のかゆいところに手が届くアシスタントとして、さまざまなシーンで利用できる。
たとえば、「トルコの人口は?」と尋ねた後、「じゃあベトナムは?」と続けると、その前の会話にあった“人口を問う会話”を踏まえて、ベトナムの人口を回答する。より、人間との会話に近づいたかたちだ。
通常は、端末や同社のサーバーを介してリクエストを処理するが、SiriがChat-GPTを活用した方が良いと判断した場合、Siriはユーザーに“Chat-GPTを使用すること”を提案する。ユーザーが許諾すると、Chat-GPTを活用した回答が得られる。たとえば、「東京に初めて訪れるが、午後の自由時間に観光する予定を組んで欲しい」といったリクエストに対しては、Chat-GPTによるより適切な回答を返す。
Chat-GPTを活用する際、Chat-GPTのアカウントは必須ではない。また、ユーザーが任意のリクエストをChat-GPTで処理して欲しいと指定することもできる。
絵文字や画像生成機能
Apple Intelligenceで生成できる絵文字「Genmoji」や、画像「Image Playground」では、コミュニケーションをより豊かにできる。
Genmojiでは、たとえばメッセージアプリで友人との会話中に、イメージのプロンプトを入力すると、複数のGenmojiが生成される。ユーザーは、いくつかの候補からGenmojiを選択し、ステッカーとして送れる。
Image Playgroundでは、メニューからいくつかのイメージを選択し、キーとなるオブジェクトなど画を構成する要素をプロンプトで入力すると、イメージにあった画を生成する。イラスト風やスケッチなどさまざまなテイストの画を生成できる。
なお、GenmojiとImage Playgroundは、サードパーティアプリ向けにAPIがそれぞれ用意されている。
Apple Intelligenceを使用できる機種は?
Apple Intelligenceは、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxと、iPhone 16シリーズのiPhoneやM1チップ以降を搭載のiPad Pro/Air、MacBook Pro/Airなどで使用できる。また、新たにARデバイス「Apple Vision Pro」でもApple Intelligenceを利用できるようになった。発表されたばかりの「iPhone 16e」も対象機種だ。
なお、iPhone 16シリーズのみ利用できる「Visual Intelligence」(カメラを通してリアルタイムに情報を収集して、お店の情報や翻訳などができる)機能などが搭載される。また、Mac端末でも写真や動画のコレクション機能「メモリームービー」機能など、利用できる機能は機種によって異なる。
iOS 18.4とiPadOS 18.4では、新たに日本語のほか、韓国語、ポルトガル語、ブラジルのポルトガル語、中国語(簡体)、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、インドとシンガポールの英語に対応。EU圏内でも利用できるようになる。ただし、中国国内では利用できない。
プライバシー
Apple Intelligenceでは、ユーザーからのリクエストは、商用目的で収集されることはなく、AIのトレーニングに使われることはないとしている。
また、可能な限りオンデバイスで処理し、必要に応じて同社のクラウドサーバーやChat-GPTで処理するかたちを取っている。クラウドサーバーを使用する際は、接続時のIPアドレスはマスキングされ、リクエストと端末のセッションがリンクされないようになっている。
さらに、第三者機関によるプライバシー機能の評価も常に実施され、プライバシー保護の体制が構築されている。
今後サードパーティ製アプリにも拡大
先述の機能の一部は、すでにサードパーティ製アプリでも使えるようにAPIが提供されているが、ほかの機能も順次APIが提供される。
また、Image Playgroundでは新しいスタイルが登場するなど、それぞれの機能でもアップデートされる。