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三木谷氏「Rakuten最強プランは他社が真似しづらい」、楽天の決算発表

 楽天グループは9日、2024年度第2四半期の決算を発表した。

 「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントにおいて前年同期比で増収を記録。売上収益は第2四半期として過去最高の5373億円(前年同期比8.1%増)となった。

 Non-GAAP営業損失は118億円で、前年同期比276億円の改善。EBITDAでは668億円(前年同期比98.6%増)の黒字を達成した。

 モバイルセグメントにおける売上収益は950億円(前年同期比18.6%増)で増収を記録。Non-GAAP営業損失は606億円で、前年同期比218億円の改善となっている。

 楽天モバイル単体の売上収益は679億円(前年同期比29.9%増)で増収を記録した。Non-GAAP営業損失は595億円で、前年同期比194億円の改善。EBITDAは202億円の赤字で、前年同期比226億円の改善となっている。

 楽天モバイルの契約者は、契約していない人と比べて楽天のサービスを2.45サービス多く利用しているという。また、楽天モバイルの契約者は、「楽天市場」「楽天トラベル」「楽天カード」の流通総額の押し上げにも貢献しているというデータが示された。

質疑応答

 質疑には、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 最高執行役員の三木谷浩史氏に加え、楽天モバイル 代表取締役社長の矢澤俊介氏や、楽天モバイル 常務執行役員 CMOの河野奈保氏らが応じた。

――楽天モバイルの契約数が順調に伸びている。あらためて要因を聞きたい。

三木谷氏
 まずは通信の品質やカバレッジが他社さんに劣らない、あるいは通信技術については上回るというように、質の向上があります。

 2つめは、やはりわかりやすいワンプランなのかなと思います。他社さんの場合は、「使わなければこの程度(の料金)でいいが、それ以上使ったら追加料金がたくさんかかる」というサービスも多くあります。(データを)無制限に使う場合は高くなる、海外に行ってもローミング費用がかかるなど、そういった部分を民主的にフェアにしていった点があります。

 3つめとして、楽天グループとのエコシステムの押し上げは大きいと思います。

 (楽天モバイルは)フェアに安く、速くて、広くカバレッジがあります。これに加えて2026年からはAST(スペースモバイル)を通じた衛星通信も入ってきますので、楽天モバイルをとても魅力的なサービスにしていけるのではと思っています。

三木谷氏

――楽天モバイルはインターネットマーケティングのほうに注力するという話があった。最近ではプラチナバンドのCMを始めるということで、インターネット経由とショップ経由の契約の割合はどうなのか。

河野氏
 以前、テレビCMなどではなく、デジタルの広告を中心にマーケティング活動をしているという話をしました。

 本日はテレビCMを公表しましたが、一方でデジタルのプロモーションをメインに置いているところは大きく変わっておりません。

 その中で、プラチナバンドなど、多くの人たちに知っていただきたいことに関しては、媒体をいろいろと選定してプロモーションを行っています。

 (顧客)獲得の経由について、現在のところ、ネット経由、そしてショップ経由の割合は公表していません。インターネットにおいては楽天エコシステムを使った獲得、そしてショップにおいてはショップ特有のお客さまの獲得を進めており、双方ともに伸びていると思っています。

河野氏

――(契約数増加について)KDDIの髙橋社長やソフトバンクの宮川社長が「楽天モバイルはSIM単体契約が多いからそれほど影響はない」と言っていたが、端末セット売りはない状態なのか。

矢澤氏
 MNPも含めて乗り換えやすくなっていますので、SIM単体の傾向は増えています。ですが、端末を含めたいわゆるバンドルの件もかなりのボリュームがありますので、SIM単体のみが増えているということはまったくありません。バンドルも非常に好調です。

矢澤氏

――他社からは、楽天モバイルへの対抗プランのようなものも出てきている。こうしたプランが出てくることの影響をどう見ているか。

三木谷氏
 他社さんからの影響はまったくないわけではないと思いますが、「Rakuten最強プラン」はなかなか他社さんが真似しづらいようなプランです。

 (データをあまり)使わなければ、税前ですが(料金は)980円です。(データを)いくら使っても2980円。国内通話は「Rakuten Link」を使ってもらえば無料ですし、海外も(データが)2GBまで無料で、本筋を行っているというか、とても魅力的なプランだと思います。

 それに合わせて、楽天グループの各サービスでもいろいろな特典がついてきます。

 (他社からの影響は)多少あるのかもしれませんが、それほど大きな影響はないと考えています。

 我々としては、そういうことにぶれることなく、さらなる品質向上ということで、圧倒的な品質を実現する地道な努力をやっていきたいと思っています。

――昨日、気象庁から南海トラフ地震の臨時情報が出た。楽天モバイルについて、こうした臨時情報への対策を教えてほしい。

矢澤氏
 昨日の臨時情報について、楽天モバイルでは対策本部を立ち上げました。しばらくは様子見だと思います。

 南海トラフを想定して機材の準備を行ってきていますが、万が一災害が起きてしまった際には、アンテナの出力をコントロールして、バッテリーがより長く持つような調整をソフトウェアでできますので、そういった準備はしています。

 こういった臨時情報が出たことを受けて、バッテリーや発電機、可搬型の基地局なども、少しずつ該当エリアへ移動させています。

【お詫びと訂正】
 記事初出時、河野奈保氏の写真のキャプションに「三木谷氏」と添えておりました。お詫びして訂正いたします。