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「AQUOS R9/wish4」proモデルの存在やグローバルを意識した性能機能はあるのか

左から通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 主任の福永萌々香氏、通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏、通信事業本部 本部長の小林 繁氏、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の篠宮 大樹氏

 シャープが8日発表したAndroidスマートフォン「AQUOS R9」と「AQUOS wish4」では、それぞれの先代モデルからデザインが一新されるなど、先代モデルから大きく変更、進化した点が多い。たとえば、Rシリーズではこれまで展開されていたproモデルの発表が今回無かったが、戦略の変化があったのだろうか?

 また、グローバル展開にあたって同社はどのようにとらえているのか。

 本稿では、発表会での質疑などを中心にお伝えする。

 回答者は、通信事業本部 本部長の小林 繁氏と、通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の篠宮 大樹氏、主任の福永萌々香氏の4人。

proシリーズについて

――今回proシリーズがなかったが、理由は?

中江氏
 proシリーズをやめたわけではない。あくまで今回は出していない。

小林氏
 経済状況やユーザーが買える金額もあるので、総合的な考えやタイミングなどもよく考えて出していきたいと思う。

小林氏

デザイン面

――外部のデザイナーの監修が入ったが、これまでデザイン面で課題があったのか?

中江氏
 これまで社内のデザイナーと一緒に開発してきたが、今回AQUOSブランドを再定義するという中で、外の風も入れていこうとしていた中で、今回協力してもらった。

 少なくとも、我々がやっていきたい価値を形にするというところに関しては、(デザイン監修した)「miyake design」の協力は我々にとってすごく力になってくるのは確か。いつまでというところは(決まって)ないが、今後も一緒にやっていきたいと思っている。

小林氏
 グローバルでやるとき、日本の良さというところを、私たち自身がよくわかっていないところもある。そういう面をうまく体現してくれたと思う。

 今までのデザインも好評で、私どもとしてもかなり自信作だが、その時々、戦略に応じて考え方を変えていく必要があると思っている。

――デザインについて、R9とwish4で共通感があるデザインのように見えたが、理由は?

中江氏
 デザインは、スマートフォンの顔になる部分なので、できるだけ統一感を持たせたいというのはやはりある。

 ただ、たとえばカメラの数やサイズなど、端末の特徴によって統一することで逆におかしなバランスになってしまうこともあるので、その都度最適なところを考えながら、その中でも共通な部分を入れていくイメージをしながらデザインしている。

 今回は、これらの条件がうまく当てはまったというかたち。

中江氏

AQUOS R9

――R9のメインカメラのハードウェア部分はR8と同じか?

中江氏
 別のもの。ポイントとしては、光学式手ぶれ補正に対応したところ。

篠宮氏
 ソフトウェアについても、柱の陰に隠れても追尾が続くAFの部分など、しっかり撮影できるような取り組みをしている。

 チップセットも進化しており、ライカと共同で独自のチューニングを施している。特に見てもらいたいのがノイズ処理。ノイズは消しすぎると逆にノイズが目立つイメージがあるが、良い感じにノイズを残すようにしている。

 たとえば、布地の部分は質感が感じられるようにノイズを残し、人の肌のように本来消したいところはきれいに削るといった細かい調整をしている。

 ホワイトバランスや露出の部分でも、いろいろな光が当たるシーンでもずれにくいようにチューニングしている。

――チップセットで「Snapdragon 7」シリーズの採用だが、コスト面を鑑みてのことか?

中江氏
 「コスト面の課題」というのは否定できないところがある。

 チップセットの性能が上がってしまうとその分コストがかかってしまい、ユーザーに対価としてかかってしまう。今回目指したい最高のモバイルエンターテイメントに必要な機能を厳選していく中で、今回の選定に至ったという形になる。

――R9のカメラ部分のロゴがR7やR8と異なるようだが、理由は?

中江氏
 ライカとの取り組み内容に変化があるわけではなく、ブランディング面での影響でこうなった。

生成AI機能について

――生成AIはオンデバイスか? 使用しているモデルは?

篠宮氏
 オンデバイスの生成AI。モデルは「Llama2」を使用している。

 理由は、プライバシーとスピード。端末の中で完結できるので、素早く処理ができる。

――留守番電話要約機能は、海外モデルでも展開されるのか?

篠宮氏
 海外モデルでも、留守番電話要約機能は利用できる。ただし、利用できる言語が、現状日本語と英語の2種類なので、今後どこまで広げていけるかというところは前向きに検討中。

篠宮氏

――今後の機能拡充で、レコーダーの文字起こしや多言語翻訳など進化は考えられるのか?

中江氏
 具体的な予定はない。OSバージョンアップをやっていく関係上、今のハードウェアで実現できるもので、ユーザーに届けたい価値に応じてタイムリーにやっていくものと思っている。明言できるものはないが、“可能性がない”わけではない。

AQUOS wish4

――wish4について、画面の大きさが大きくなった一方で、ブランドを継続した理由は?

福永氏
 画面を大きくした理由は、まずグローバルスタンダードに合わせて、世界で戦える仕様にしていくのが1つ。2つ目は、wishシリーズはミニマムと伝えてきたが、ユーザーはストラップを使っていたりカバンに入れていたりするユーザーが多く、サイズの小ささより使い方にこだわった方が「スマホとの距離感がミニマムになる」と感じ、コンセプトにも合うだろうということで大きくした。

――wish4のOSアップデートは?

福永氏
 2年間で最大2回のOSアップデートをサポートする。

海外展開について

――シンガポールで展開する理由

小林氏
 シンガポールは5G導入率も高く、(スマートフォンの)平均購買価格も実はかなり高い。日本のものづくりといったところにも非常に魅力を感じている販売パートナーもおり、結構可能性があると感じている。

 (そういう面でいえば、)世界中どこでもやる。きちんとマーケット調査をして総合的に考えて、市場投入できるところには入れていきたい。

――AQUOSシリーズがなぜ海外で人気なのか? 日本製というポイント以外でわかったことはあるか? 海外からのフィードバックで取り入れた機能はあるか?

小林氏
 耐久性というところで結構驚かれる。海外の端末は、結構割れやすいものもあるほか、防水性能でもハンドソープで洗えるといったポイントで「聞いたことがない」と反応が返ってくることもある。

 日本のものづくりというのが、スペック面で○×がつくだけじゃない部分もあり、そういうところを深く説明していくと、ものづくり精神という部分で共鳴していると思っている。

 一方で、日本市場ではあまり気にしなかった点でフィードバックを受けることもある。

 たとえば、今回のスピーカーサイズについては、海外では地下鉄などでも動画視聴や通話をスピーカーでしていることが多く、音量の求められる基準が全く違った。画面の反応もグローバルで求められる基準が違い、そういう面で評価が低くなってしまったり、厳しいコメントをもらったりすることが多い。

 1個ずつ地道にフィードバックしながらグローバル展開に取り組んでいる。

想定しているユーザー層、SIMフリーモデルの発売時期

――想定されているユーザー層は?

中江氏
 R9については、デザインもかなりこだわっており、今までの年齢層よりも少し下のゾーンでも気に入ってもらえると思う。30~40代のユーザーがメインターゲットになる。

 wish4は、かなり幅広い年代に受け入れてもらえると思っている。初めてスマートフォンを使う学生が、今後のスマホライフの最初の1台として満足できる形になるのが、我々の狙い目。

――SIMフリーモデルの発売時期は、キャリアモデルと大きく変わらないのか?

中江氏
 大きく変わらない。