ニュース
“イメチェン”が図られた新製品「AQUOS R9」と「AQUOS wish4」、開発の経緯や特徴を担当者が語る
2024年5月8日 17:12
シャープは8日、AndroidスマートフォンのAQUOSシリーズ新製品として、「AQUOS R9」と「AQUOS wish4」を発表した。
「AQUOS R9」は7月中旬以降にNTTドコモとソフトバンクから、「AQUOS wish4」は7月上旬以降にNTTドコモとワイモバイルから発売される。また、SIMフリーモデルも発売される。SIMフリーモデルの想定価格は、それぞれ10万円前後と3万円台前半。
今回のモデルでは、どちらも背面デザインが大きく変更されているほか、コンセプトが再定義され、まさに「イメチェン」が図られた2製品となったが、開発の経緯や特徴はどのようなところにあるのか?
「イメチェン」を図ったAQUOSシリーズ
通信事業本部 本部長の小林繁氏は、コンセプトも価格も異なる2製品としながらも、共通していることとして「成熟したスマートフォン市場で、現在ユーザーが一番気にしていることは何か? 感じていることは何か? というところを突き詰めて考え、寄り添ってきたこと」と「為替など経済環境の影響を受ける部品が多いなか、それらをすべて考えた英知の結集になっている」を挙げ、ユーザーの利便性と経済性を両立させた製品であると強調。
また、2機種については「イメチェン(イメージチェンジ)を図った」とコメント。
具体的な内容として「AQUOSスマートフォンの存在意義を見直すこと」と「ユーザーが毎時毎分毎秒触るスマートフォンを日本発でどういうデザインであるべきか」、「進化の著しいAI、はやりに乗るわけでなくスマートフォンの可能性を広げるものでどうユーザーに役立てることができるか」の3点を考えてきたと説明した。
今回の2機種は、台湾やシンガポールなどグローバル展開が進められる。これまでの機種でも進められてきたが、今回の2機種については「できるだけ速くグローバル展開していきたい」としており、グローバルモデルとしての考え方をもった2機種であるとした。小林氏は「昨年の日本以外の販売台数は、前年比で倍増している」と語り、グローバル展開への挑戦は継続していくとした。
ブランドの再定義と心地よい違和感があるデザイン
通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏は、日本メーカーの多くが撤退するなか、日本ならではのきめ細やかさがグローバル市場でも価値があるとし、「くらしの隅々までワクワクを届ける」とブランドを再定義し今回の「AQUOS R9」「AQUOS wish4」につながったとした。
また、今回からデザインが一新、デザイナーの三宅一成氏が設立した「miyake design」が監修したデザインになった。
中江氏は「目指したのはジャパンモバイルのジャパンモダンなデザイン」とし、シンプルながらも違和感がある、正円ではないデザインとなったことや、カメラのレイアウトもあえて揃いすぎない絶妙なバランスの配置にこだわったという、
価格とユーザー体験のバランスをとった「AQUOS R9」
中江氏は、円高などの社会情勢でスマートフォンの部品など価格の高騰が懸念されるなか、「より多くの方に最高のモバイルエンターテイメントを届けたいという日本企業の使命感から生まれた新しいハイエンドモデル」とし、価格とユーザー体験のバランスをとった製品だと強調する。
ディスプレイとスピーカー
通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の篠宮大樹氏は、まずディスプレイやスピーカーへのこだわりを説明。
ディスプレイは、約6.5インチのPro IGZO OLEDディスプレイ(1080×2340、フルHD+)で1~240Hzの可変駆動をサポートする。
ディスプレイの明るさについて篠宮氏は「明るさに徹底的にこだわった」とコメント。
ディスプレイの明るさには、ドットあたりの「点の明るさ」と全体の「面の明るさ」があると説明。「点の明るさ」はHDR画像や星空のシーンなど明暗差が大きいシーンで効果が出てくる要素、一方の「面の明るさ」は、屋外など光の強い環境で効果が出てくる要素とコメント。
今回は、このどちらも強化することで、コンテンツと視聴環境両面で高い体験価値を提供できたという。
また、音響面においても、AQUOSシリーズ最大サイズのボックススピーカーを搭載し、「圧倒的な音の広がりで、作品の世界に浸ることができる」(篠宮氏)としている。
チップセットは「Qualcomm Snapdragon 7+ Gen 3」
チップセットは「Qualcomm Snapdragon 7+ Gen 3」を搭載。先代のAQUOS R8と同等クラスのCPU性能としつつも、メモリーを12GB、仮想メモリーで+8GB拡大できるため、重たいアプリの切り替えまでスムーズに駆動する。
また、放熱部にベイパーチャンバーを採用し、表面温度で最大5℃、パフォーマンスで最大80%向上の効果があるとしている。
カメラ機能
カメラは、背面に約5030万画素のメインカメラ(F値1.9、84°、23mm相当、OIS対応)と約5030万画素の超広角カメラ(F値2.2、122°、13mm相当)、前面には約5030万画素のインカメラ(F値2.2、84°、23mm相当)を備える。
すべてのカメラで位相差AF機能を搭載し、メインカメラでは光学式手ぶれ補正を搭載している。メインカメラはライカ監修でレンズにはライカのHEKTORレンズが採用されている。
ソフトウェア面では、被写体の追尾機能が進化しているほか、写真の影を除去したり、動画撮影時に被写体を強調するようなぼけに調整したりAIを活用した機能も強化されている。
また、ハイエンドモデルでは珍しいというMIL規格「MIL-STD-810」に準拠しており、「どこでも持ち出して、気軽にガシガシ撮影を楽しんでほしい」と篠宮氏はアピールする。
生成AIを使った留守番電話機能
今回、新たに生成AIを使った新機能が搭載される。
「AQUOS R9」では、留守番電話機能を拡張する「留守番電話要約機能」が搭載される。
流れとしては、着信画面のアイコンをタップすると、相手に留守番電話と同じようにメッセージが流れ、相手が用件を録音すると、その後スマートフォンでかかってきた相手と要約された用件がテキストで確認できる。
同機能の意図について篠宮氏は「かける相手にとっては便利だが、かけられる側にとっては負担になることもある。誰が何の用事でかけてくるのか? どれだけの時間がかかるのか? 留守電を聞く時間すら無いときもある。そんな非効率を生成AIで解決できればと考えた」と経緯を説明。
機能については、デバイス上で動くオンデバイスAIであるため、プライバシーの観点からも安心して利用できるとアピール。具体的に決まっている物はないとしながらも、今後も「効率性」と「創造性」の2軸で、会話や画像など生成AIを使った機能を提供していくとした。
“つよかわ”スマホ「AQUOS wish4」
「AQUOS wish4」について、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 主任の福永萌々香氏は、「かわいいだけではなく、こわれにくい“つよかわ”スマホ」と表現し、かわいさと安心して使える耐久性を両立したスマートフォンに仕上がっているとコメント。
たとえば、「MIL-STD-810H」準拠やコンクリートの落下試験をクリアする耐久性や、ハンドソープ洗浄への対応など、ユーザーが長く清潔に利用できるような設計としながらも、新しいデザインが取り入れられており、ユーザーの暮らしになじむようになっているという。
大きくなったディスプレイ
ディスプレイは、約6.6インチ(720×1612)の液晶ディスプレイを採用している。
福永氏は、先代モデルの「AQUOS wish3」から増量されたバッテリー容量とあわせて「2つのロング」と位置づけ、ユーザーのいろいろな使い方に合わせられるとメリットを説明する。
Rシリーズから継承した画質エンジン
カメラは、背面に約5010万画素(F値1.8、79°、25mm相当)のメインカメラ、前面に約800万画素(F値2.0、78°、26mm相当)のインカメラを備えている。メインカメラのセンサーサイズは、先代のAQUOS wish3から約3割大きくなっているという。
加えて、Rシリーズから継承したという同社独自の画質エンジン「ProPix lite」を搭載しており、人の肌の質感の表現や暗所でも明るく撮影できる体験が提供できたとアピール。
新位相差AFを搭載しており、暗いシーンでもピントが合った写真が撮影できるとした。