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より多くの場所でミリ波通信を実現、KDDI総研のドローン中継局

 より大容量な通信が可能な「ミリ波」。一方で広範なエリア展開が難しいなどの課題もつきまとう。KDDI総研では、ミリ波エリアをより柔軟に展開する仕組みを実現するべく、研究開発を続けている。

 ミリ波は、30GHz~300GHz付近の周波数の電波を指しており、これまで携帯電話で使われてきた周波数よりも大容量かつ低遅延な通信の実現が可能になる。一方で、障害物を回り込むことが難しく、遮蔽物に弱いなど広いエリアで使うには難しいという課題がある。

 KDDI総研では、ドローンなどで基地局からの電波をスマートフォンなど端末に電波を届ける移動式の中継局を考案。従来は中継機自身に電波が回り込んでしまうなどで、安定した通信が難しかった。新たな技術では、端末側と基地局側で異なる周波数の電波を用いることや複数のアンテナを用いるMIMOなどを活用。遮蔽物の影響を避けて安定的な通信を実現する。同社によれば、ひとつの基地局がつくる通信エリアの端付近での上り通信速度が大幅に改善されたとしている。

 イベントなど、突発的に特定のエリアで通信需要が増えた場合でも対処でき、遮蔽物に遮られやすいミリ波の特性上、ドローンなどへの搭載が推奨として示されている。今後は低遅延化を進めるとともに2023年度末~2024年度にかけて屋外での実証実験を進める。