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ドコモがマネックス証券を連結子会社へ、提携の意義や今後のサービス構想を説明

左から、NTTドコモ代表取締役副社長 スマートライフカンパニー長の前田 義晃氏、代表取締役社長の井伊 基之氏、マネックスグループ 代表執行役会長の松本 大氏、代表執行役社長CEOの清明 祐子氏

 NTTドコモは4日、マネックスグループとマネックス証券と新たな金融サービスモデルの構築を目指した資本業務提携契約を締結した。

 今回の資本業務提携では、マネックス証券を子会社とする中間持株会社が設立され、24年1月4日に中間持株会社の約49%の議決権をドコモが保有することになる。また、取締役の過半数を指名する権利をドコモが持つため、この中間持株会社とマネックス証券はドコモの連結子会社になる。

 ドコモでは、金融やポイントなどの「スマートライフ事業」が好調に推移しており、23年上期の決算でも、その好調ぶりがドコモ代表取締役社長の井伊 基之氏からも説明された。今回の取り組みも、このスマートライフ事業の一つとされるが、今後どのように展開されるのだろうか。

ドコモ 井伊社長とマネックスグループ 松本会長

ドコモの会員基盤を活用

 ドコモの井伊社長は、自社のスローガン「あなたと世界を変えていく」をかかげ、今回の提携について「マネックスグループと資産形成の世界を変えていく」ことにチャレンジしたいと今回の目的を説明。

 24年1月から始まる新NISAに触れた井伊社長は「NISA口座を5年後に3400万口座へ倍増させる政府の目標もあり、これをきっかけにユーザーのマネーライフが大きく変化するなか、ドコモとマネックスグループによる新たな資産形成サービスを多くのユーザーに活用いただける」と、今回の提携についての自信をみせた。

 今回の提携では、ドコモの顧客基盤を通じ、初めてのユーザーでも手軽で簡単な資産形成サービスを提供していくと説明。

 具体的には、9600万のドコモの会員基盤からユーザーの年齢や家族構成、購買データなどに基づき、ドコモのオンラインメディアやドコモショップを通じてユーザーのライフステージ、ライフスタイルにあった最適な金融商品を提案していくという。将来的には、Web3や生成AIを活用してサービスを進化させていきたいという。

具体的にどんなサービスを展開?

ドコモ 代表取締役副社長 スマートライフカンパニー長の前田 義晃氏

 サービスの詳細や具体的な開始時期については明らかにされなかったが、ドコモ 代表取締役副社長 スマートライフカンパニー長の前田 義晃氏は、「金融決済は収益拡大の柱」としているとし、これまでもdカードやd払いといった決済分野を中心とした金融サービスでユーザーのマネーライフをサポートしてきたとアピール。

 今回は、投資分野に本格参入し、これまでにない新しい資産形成サービスを始めるとした。

 たとえば、dカードユーザー向けにdポイントが貯まる積み立て投資サービスや、投資残高に応じたdポイントの進呈、dポイントを使って金融商品を購入できるサービスなどを想定しているという。

 サービスの提供にあたって、前田氏は「ユーザーのさまざまなデータを分析し、最適な商品をタイムリーに提案していく」とし、就職や転職、結婚、子供の誕生など“人生の変化点”に、これまでの定期預金以外の選択肢として「dカードによる積み立てNISA」を提案していきたいと説明。自己資金に余裕のあるユーザーには、投資信託に加えて米国株の購入などを提案していくこともできると、将来のサービスに含みを持たせる発言もあった。

「エキサイティングな体験になる」とマネックス 松本会長

マネックスグループ代表取締役会長の松本 大氏

 マネックス証券を傘下に持つ、マネックスグループ代表取締役会長の松本 大氏は、「マネックスは25年前に私と3人の同僚によって立ち上げた。創業以来、金融資本市場のプロフェッショナル精神と起業家精神によって、常に日本の資産形成サービスにイノベーションを起こし、業界初のサービスを考案、実現し、業界をリードしてきた」と説明。

 また、資産形成について「それ自体がゴールではなく、資産によって個人が自分のやりたいことを実現する、自己実現の手段である」と考えを示したうえで、今回のドコモとの提携で、この夢の実現をサポートしていくとした。

 ドコモとは、これと同様の企業理念を共有しているとし「すばらしいパートナーシップになると信じている」と今回の提携への自信をあらためて示す。

 今回の提携では、広く個人が安心して利用できる「便利で良質な金融サービス、資産形成サービス」を提供でき、『巨人であるドコモ』と『起業家精神あふれる個人の集合体であるマネックス』が手を組んで、オールジャパンのサービスを作って提供できることは、本当にエキサイティング」と、今後の展望に期待をもたせた。

 また、マネックスグループ 代表執行役社長CEOの清明 祐子氏は、ドコモマネックスホールディングスとなっても「未来の中心には引き続き常にユーザーがいる」とし、「資産形成を当たり前にすることに挑戦してきたとともに、大切なユーザーの資産の増加にコミットしてきた」理念を、すべて“巨人”ドコモの基盤に乗せることができると、今回の提携の意義を説明。

マネックスグループ 代表執行役社長CEOの清明 祐子氏

 この理念に、ドコモのユーザーデータと分析力、AIの力を掛け合わせることで、今、未来のユーザー一人一人に合った最適な資産形成サービスを提供できるとした。

なぜドコモの連結子会社に?

 今回の提携では、単なる業務提携ではなく、資本提携となっているほか、ドコモマネックスホールディングスを設立し、ドコモの影響が一定程度ある形での提携となった。

 ドコモの井伊社長は、「一番やりやすい資本の持ち方」とコメント。資産形成分野について、これまでのドコモからかなり“前のめり”な取り組みのように見えるという指摘については「それくらい(資本提携するくらい)情熱が高いと言うこと。責任ある立場として関わらないと、マネックス証券の将来の成長に関わることなので、しっかりと資本関係を結ばせていただいて両社ばっちり手を引いてやる」と今回の提携への意気込みを示した。

ドコモ 井伊社長

 ドコモ 前田氏は「両社で協議の上での判断。金融法令や監督官庁などをふまえ、既存の業務執行体制を最大限生かせるものとした」と説明した。

 また、ドコモ 執行役員 スマートライフカンパニー統括長の江藤 俊弘氏は、子会社とした経緯について「ドコモのシステムと直接接続したり、ドコモのオウンドメディアで直接露出したり、といったことができる」とした。出資比率についても「シナジーを最大化するため。マネックスという商標が使いやすいというのもある」とコメント。

 今回の提携の具体的な経緯について、江藤氏は「2020年のマネックスとドコモのポイント交換のところからの縁で、その際のディスカッションから、今回の提携の運びになった。今回の発表は突然のものだったが、それなりの時間をかけて検討してきた」と説明している。

ドコモ 執行役員 スマートライフカンパニー統括長の江藤 俊弘氏

“マネ活プラン”に含みを持たせる

 実際のサービスの提供形態について、井伊社長は「マネックスとドコモのポイントを交換することは以前からやっていたが、今回の提携で、我々のdポイント/dカードをしっかりとサービスに組み込めるように考えている。我々の事業としては、今のサービスの発展経と言う形になるが、それを可能にするためにアプリなどは今後作っていかなければならない」とした。

 24年1月スタートの新型NISAの開始まであまり日がない件については「全速力で間に合うようにする」とした。

 また、江藤氏は「やっぱりポイントプログラムの活用というところが基本的なものになる。口座開設時にポイントがついたり、資産が増える度にポイントが貯まったり、dスマートバンクとの連携なども進めていきたいと考えている。」と具体的な構想にも言及。一方で、「ドコモは証券サービスに本格的に携わるのははじめて。まずは他社並みのサービス水準をいち早くキャッチアップしたい」とした。

 他社が先行している「携帯電話の料金プランと絡めたサービス」の実現について江藤氏は、「いわゆる“マネ活料金プラン”があるのは承知している」としながらも「ユーザーニーズを顕著化し、ドコモやドコモと提携する会社と、提供価値があるということがわかれば、(サービスを提供する)話になるし、その分野で何かとセットにしたほうが、ワンストップの価値がユーザーに感じられやすいということであれば提供する」と、含みを持たせた。

 ターゲットとなる顧客層については「40代以上のユーザーが、投資をする余裕があるという議論があった。一方で、20代~30代といった『今まさに資産形成に興味がある』というユーザー層を想起に囲い込むということもやっていかなければいけない」(江藤氏)とし、複数のユーザー層をターゲットにしたサービス展開の考えを示した。

 なお、サービス名称については「マネックス」の名称は残す考えであるとした。

銀行業は“大きなテーマ”

 証券と関連が強い銀行について、ドコモでは三菱UFJ銀行と提携した「dスマートバンク」などが関連サービスとして提供している。

 これよりも踏み込んだ実際の銀行業の規模拡大について井伊社長は「現時点で決まっていることはないが、『大きなテーマ』と認識している」と、将来に含みを持たせるコメントをした。

目標は3~4年で500万口座

 今回の取り組みで、 マネックスグループ 清明氏は「まずは500万口座、預かり資産15兆円を目指して、3~4年後くらいのスパンで目指したい」とし、この後も加速度的に伸ばしていきたいとコメントした。

 一方、ドコモ 江藤氏は今回の目標について「ドコモがやるのであれば、時期はわからないが、やっぱり1000万口座を目指したい」との考えを示した。