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KDDIとソニー、商用5G SAで混雑環境下のゲームストリーミング実証実験を実施――24年以降の提供開始を目指す

 KDDIとソニーは、KDDIの5G SA(スタンドアローン)の商用ネットワークで、混雑環境下でのゲームストリーミングに関する実証実験に成功したと発表した。

 今回の実証は、5G通信の機能のひとつの「ネットワークスライシング」などの技術を活用したもの。

 KDDI 事業創造本部 LX基盤推進部長の鶴田 悟史氏は、自宅を想定した家庭用ゲーム機とイベント会場想定の場所にあるソニーのスマートフォン「Xperia」を、商用ネットワークの「ゲーム専用ネットワークスライス」を経由して接続し、ゲームストリーミングを行い、ユーザー体験が高いゲーム体験を実証できたとしている。

KDDI 事業創造本部 LX基盤推進部長の鶴田 悟史氏

 今回の実証に使った尺度「ユーザー体験」は、通信有無や“カクつき”に応じて5段階評価の指標で、レベル1~5の順に「通信切断 ゲーム不可」、「大きくカクつきゲーム困難」、「大きくカクつくがプレイ可能」、「たまにカクつくが快適」、「快適」で評価される。

 実証では、この「ユーザー体験」と通信の混雑度合いに相関があるかが確認された上で実証実験が進められているという。

 また、単純なカクつきの評価では、「カスタマイズしていないネットワークスライシング」と比較して、カクつきの発生が約99.5%減少することが確認できた。

5G SAで混雑下におけるゲームストリーミングの安定通信に成功

商用ネットワークでの実証に成功

 ネットワークスライシングは、サービスごとにネットワークを仮想的に分割することで、ネットワーク品質の維持や安全性の確保、異なるスライスでの相互不干渉などが期待できる技術。

 同社はこれまでもネットワークスライシング技術を使った実証を進めてきたが、KDDI 技術統括本部 ネットワーク開発本部 ネットワークスライス開発部長の渡里 雅史氏によると、混雑状況におけるゲーム体感のレベル維持に課題があったという。

KDDI 技術統括本部 ネットワーク開発本部 ネットワークスライス開発部長の渡里 雅史氏

 今回の実証では、「混雑した商用ネットワーク」での5G SAを想定して行われた。前回の実証では、商用ネットワークを利用していない状況だったが、前回との技術的な違いについては「具体的な説明が難しい」としながらも、パラメーターの調整などで快適な環境を構築したとしている。

 なお、一般ユーザーの通信リソースも確保できるようバランスはしっかり取っていると話す。

2024年以降の提供を目指す

 5G SAサービスについては、すでに4月から一般ユーザー向けへのサービス提供が始まっている。今後はネットワークスライシングのサービス提供を2024年以降に目指していく。

 今回のゲームストリーミングに関するサービスについても、引き続き共同で検証をすすめ、サービス提供を目指していくとしている。