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ソフトバンク、防災などで基地局からのカメラ映像を法人向けに提供

 ソフトバンクは、携帯電話の基地局にカメラを設置し、リアルタイムやアーカイブの映像を提供して、顧客が防災やモニタリングに活用できるという法人向けソリューション「スマート情報カメラ」の提供を2019年春から開始する。当初は官公庁、鉄道会社や放送局などに提供する方針。料金はカメラ1台につき月額5~20万円程度としている。

「スマート情報カメラ」

 「スマート情報カメラ」は、携帯電話の基地局にネットワークカメラを設置して、自然災害や交通事故・渋滞などのリアルタイムの観測が行える映像配信サービス。顧客の要望に応じて、沿岸、河川、火山、山間部、空港、駅、高速道路、ランドマーク、市街地などに設置できるとしている。

 当初はリアルタイムの映像か、過去48時間分のアーカイブ映像の提供になるが、今後は映像の分析サービスの提供なども検討されている。カメラは、映像を中心にソニーの業務用機材の提供を手がけるソニービジネスソリューション製のネットワークカメラが用意され、フルHDやHDの解像度で映像を提供する。

「スマート情報カメラ」のUI ※開発中のもの
北海道松前町の沿岸の様子。高さ40mという基地局の鉄塔に設置されたカメラの映像

 カメラの映像を利用する形態については、顧客の要望に応じてカメラが設置され、その映像の利用を専有する「専有パターン」と、あらかじめ設置されたカメラのラインナップから選び、複数の顧客がカメラの映像を共有することになる「共有パターン」の2パターンで提供される。

 専有パターンはフルHDで提供され、パン・チルト・ズームなどの操作も可能。映像の所有権は顧客が持ち、再販なども可能。共有パターンはHD(720p)で提供され、カメラの操作を行えない一方で、費用を抑えることができる。利用料金のイメージは、専有パターンがカメラ1台につき月額15万円、共有パターンがカメラ1台につき月額5万円などとしており、3年後には提供価格をある程度下げられるとも見込んでいる。

 携帯電話の基地局は、用地交渉をはじめ、電源やネットワークの整備がすでに完了しており、保守点検も行われるため、定点観測カメラを設置する場所として優れている。「スマート情報カメラ」ではソフトバンクがカメラの設置から映像の提供までを手がける。

専有パターン用、ソニービジネスソリューション製ネットワークカメラ。下部の透明ドームが人の頭ぐらいのサイズ

防災での活用をアピール「課題解決で社会に貢献」

 11月9日には都内で記者向けに発表会が開催された。登壇したソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの今井康之氏は、今回のサービスは社会環境の課題を解決していく取り組みの一環と位置付け、20万局以上という全国に設置した基地局のロケーションを活用し、地方自治体を含めて防災に活用できることをアピールした。

 ここで今井氏は、北海道胆振東部地震の地震発生時、大きな揺れの直前に停電が発生していた地域があったことを映像で紹介。こうした例などから、災害対策でも迅速な初動を支援する活用も可能であるとした。

 今井氏は「映像とIoTを利用しながら課題を解決し社会に貢献していく。自治体や企業と連携してサービスを作っていきたい」と意気込みを語っている。

 カメラやソフトウェアを提供するソニービジネスソリューション 代表取締役社長の宮島和雄氏は、放送局をはじめとした既存の顧客から、いろいろな場所の映像を欲しいという要望が多いことを紹介する。ただ、カメラやネットワーク設備の設置、メンテナンスなどは障壁が高く、企業が独自にカメラ網を構築して維持することは難しかったという。「スマート情報カメラ」では、こうした「煩わしさを一気に解決できる」と期待を語り、「名前はスマートだが、熱き想いで、泥臭くビジネスを推進していく」と積極的に展開していく方針を語っている。

ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの今井康之氏(左)、ソニービジネスソリューション 代表取締役社長の宮島和雄氏(右)