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楽天モバイルとNEDOが仮想化技術用いた5G SA構築、今後商用化へ

 楽天モバイルと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、汎用ハードウェアとクラウド技術による完全仮想化での5G SA無線アクセス装置の構築と実証に成功した。今後、商用ネットワークで活用するほか、国外への展開も目指す。

 仮想化技術を用いた無線アクセス装置で5G SAの基本機能のE2E接続試験を実施。5G SA対応端末を用いてコアネットワークまで完全仮想化された通信を実現した。あわせてスライシングネットワークも開発。NECの映像解析技術を搭載する侵入検知システムと組み合わせ、より高画質・低遅延な映像での利用を実現したという。

 このほか、商用化を視野に入れた機能拡張や性能向上も実施。クラウドやソフト処理に付随する処理の増加を考慮し、分散ユニット(DU)や無線ユニット(RU)サポート数を1 データ処理部(vCU)あたり256セルまで拡張しクラウドリソースを削減。LTEネットワーク比で3倍以上の端末数をサポートする。通信時にユーザーごとに最適化する「TCP Stablizer」の位置最適化で、複数端末でのトラフィックの安定化や高速化を実現した。

 NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環。楽天モバイルでは、今回の成果により専用のハードウェアなどを用いた従来型の仕組みと比較して設備投資・運営コストを30%削減できるとしており、信頼性が高く柔軟性と経済性を兼ね備えた5G SAの構築が期待される。今後、商用の5G SAに今回の技術を導入するほか、楽天シンフォニーを通じて国外への展開も進める。