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KDDIと三井物産、コンタクトセンター事業を統合「アルティウスリンク」を9月発足へ、生成AIなどでデジタル化を推進

右から、KDDI 取締役執行役員専務の桑原 康明氏、KDDIエボルバ 代表取締役社長の若槻 肇氏、りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長 網野 孝氏、三井物産執行役員ICT事業本部長の小日山 功氏

 KDDIと三井物産、KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズは、KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズが9月1日に経営統合し、アルティウスリンクを発足させることを発表した。

 両社はともにコンタクトセンターの運営などを手がけており、両社と親会社のKDDIと三井物産が持つ強みを活かして、コンタクトセンターをはじめとしたBPO(Business Process Outsourcing)事業を展開していくとしている。

KDDI 桑原氏「両社の強みを活かした企業のデータ利活用を支援」

KDDI 取締役執行役員専務の桑原 康明氏

 KDDI 取締役執行役員専務の桑原 康明氏は、通信事業の次に核となるNEXTコア事業においてKDDIと三井物産が協業を進めているとした。

 その第1弾となる「GEOTRA」では、高い粒度で人流データを生成し、デジタルツインを実現、街作りや土木建設金融、観光支援やイベント、防災対策などさまざまな業界のビジネス変革に重要な役割を果たしていると説明。

 今回は、このNEXTコア事業の事業基盤サービスの領域での連携とし、企業のデータ活用を支援する新会社発足となったという。

 企業のデータ利活用について桑原氏は「スマートフォンやIoTなどデバイスによる接点では、顧客管理システムに連携され、ビジネスの改善や変革に活用されている」としながら、もう一つの顧客接点である「コンタクトセンター」については、「重要な接点でありながら、ユーザーの生の声がまだ十分にデータ化されていないのが現状」と指摘。このコンタクトセンターに着目し、デジタル化と顧客管理システムとの連携、分析により、企業のデジタル変革を推進できるという。

 新会社では、KDDIのICT領域やデータビジネス領域の実績や知見、三井物産のビジネス開発や国内外グループ会社のネットワークなど両社の強みを活かして、デジタルBPOのリーディングカンパニーとなるように進めていくとしている。

三井物産 小日山氏「日本最大のデジタルBPO事業者へ」

三井物産執行役員ICT事業本部長の小日山 功氏

 三井物産執行役員ICT事業本部長の小日山 功氏は、ICT事業本部について「データを駆使したビジネス構築とICTと知見を生かした総合商社ならではの付加活の創出が役割」と説明。今回の新会社については、データの重要性とDX化の差別化が問われるコンタクトセンター、BPO業界で、この役割を体現したものと考えを示した。

 新会社では、コンタクトセンター事業をさらに強化できるとし、デジタルBPOへの取り組みを加速させ、コンサル力や提案力、デジタル力に磨きをかけ、ワンストップで業務ソリューションを提供する「国内最大のデジタルBPO事業者」を目指していくとした。

企業の複雑化する課題に対応

りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長 網野 孝氏

 新会社「アルティウスリンク」について、同社代表取締役社長に就任予定の、りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長 網野 孝氏(三井物産出身)は、「統合する2社は、ともにコンタクトセンター事業を軸にBPO業界で確固たる地位を獲得してきた。今回の経営統合で事業規模が倍になり、業界のカバレッジが広がる」とした。

 企業の課題として、労働人口の減少に伴い人手不足や消費者ニーズの多様化複雑化と、これまでと大きく変化してきていると指摘。コンタクトセンターなどにおいても、従来の人からAIへの代替、消費者接点のデジタル化に伴う電話からWebへのシフトなど、ビジネス環境は転換期を迎えており、変革が必要だという。

 新会社では、国内最大のコンタクトセンター事業基盤となり、これに加え、KDDIや三井物産グループの知見やネットワークを活用しデジタルBPOサービスの国内外への展開を目指すとした。

 具体的には、多様なユーザーニーズに対応できるよう最適なチャネルの設計や、クラウドを含めた特別なスキルやモデルを提供するエコシステム、ユーザー情報などさまざまなデータ分析を行う。

 これらにより、企業はデジタルコンタクトセンターでの運営を通して、ユーザーの真の悩みや課題理解を深めることで、ユーザーロイヤリティを高めライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の向上につなげていくことができるとした。

 また、新会社「アルティウスリンク」代表取締役副社長に就任予定のKDDIエボルバ 代表取締役社長の若槻 肇氏(KDDI出身)は、今回の統合により、売上高2400億円、拠点数100以上、従業員数5万8000人の企業になるとアピール。国内最大級のリソースを活かした対応力や機動力で、大規模案件や緊急案件など柔軟に対応できるとした。

KDDIエボルバ 代表取締役社長の若槻 肇氏

 若槻氏は、コンタクトセンターやバックオフィスだけでなく、周辺領域となるコンサルティングデータ分析やマーケティングシステムの構築といった部分も提供することで、企業のユーザー動向や行動分析などをサポートするという。

 今後は、コンタクトセンターを高度化すべく、応対データと外部データを掛け合わせたデータ分析や、生成系AIを活用した次世代型コンタクトセンターの実現などを目指していくとしている。