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KDDIと日立、量子関連技術でシフト作成時間を半分に

 KDDIエボルバとKDDI、日立製作所の3社は、「スタッフの勤務シフト」作成で、量子コンピューティング技術を用いることで、作成時間が半分以上、短縮できたと発表した。

 実験では、管理者がシフト作成にかける時間を、半分以上短縮できた。3社は2023年以降の実用化を目指す。

勤務シフト、作るには多大な労力

 勤務シフトを作るには、いくつかの条件を満たす必要がある。たとえばスタッフによってスキル・能力が異なり、勤務時間帯の希望、時間によって必要な人数、はたまた契約条件など複雑な内容だ。そのためシフト作成はどうしても時間がかかる。

 KDDIエホルバでは約100人のスタッフののシフトを作成するのに11時間以上を要していたという。また一般的な勤務シフト作成ツールを使用した場合、修正を含めて20時間を要し、さらに特定スタッフの勤務時間帯に偏りが出るなどの問題も発生したという。

量子コンピューティングを勤務シフト作成に

 これらの課題を解決するために、KDDIはKDDI総合研究所の協力のもと量子コンピューティング関連技術を用いて勤務シフトを作成するための計算手法を研究している。

 また日立は、量子を使わず半導体上でイジングモデルの振る舞いを擬似的に再現した独自の計算技術「CMOSアニーリング」を利用した「勤務シフト最適化ソリューション」を提供している。

 この実証では、KDDIエボルバの北海道地区事業所約100名のスタッフの1カ月分の勤務シフトを作成した。

 実証前は約11時間かかったシフト作成が、勤務条件に関するデータの準備やスタッフとの最終調整も含め約5時間で完了したという。

 KDDIエボルバ、KDDI、日立は、シフト作成業務の負荷軽減とスタッフの業務効率改善に向け、量子コンピューティング関連技術を使った勤務シフト作成の実導入を目指していくという。