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AIへの意欲語るソフトバンク孫氏「実は大変忙しい」

 ソフトバンクグループは21日、第43回定時株主総会を開催した。株主総会には、代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏が登壇し、AI(人工知能)分野での意気込みを語った。

孫氏

 冒頭で、ソフトバンクグループのこれからについて「いよいよ反転攻勢」とコメントした孫氏。AI(人工知能)を、そのカギになる存在として位置づける。

 孫氏は、「人類は地球上で最も優れた頭脳を持つ動物」と語る。しかし、AIが人類の知能を上回る“シンギュラリティ”が到来し、状況が一気に変わるという。

 孫氏自身はOpenAIのAI関連サービス「ChatGPT」を日常的に活用するほか、グループ企業内で生成AI活用コンテストを実施。同氏は「(コンテストの)1~11位までは、すぐに事業化できるレベル」と自信を見せる。

 将来的に「全人類の叡智の1万倍」を実現するというAIは、今後も加速度的に進化を続けていく。孫氏は現在の状況を「“超人類”の誕生が目の前にやってきている」と表現。これにより、事故のない社会や人々の健康な暮らしなど、社会課題の解決につながるとした。

 AIの成長を見据えるソフトバンクグループにとって中核を担うのが、傘下にある半導体企業のArm(アーム)。同社によるベースチップの出荷数は年々増加している。「近い将来1兆個以上(の累計出荷数)になる」と自信を見せた孫氏は、今後の爆発的な成長を予見する。

 孫氏は2022年11月の決算発表を最後に、ソフトバンクグループの決算会見に登壇しないことを宣言していた。理由は、Armの成長に専念するため。“AIの新しい革命”に向け、昼夜問わず考える日々を送っているという。

 「『大赤字を出し、恥ずかしくて引っ込んでいるのでは』と言われているが、実は大変忙しくしている」と孫氏。自身の後継者については「もう少し先」とし、「ワクワクしすぎて引退したくない、もうちょっとやりたい」と意気込みを見せた。

 驚異的なスピードで成長を続けるAIに対しての規制について、孫氏は自動車の例を出す。「自動車に速度などの規制があるように、AIについても、間違った使い方をしないような規制は導入される必要がある。一方、行き過ぎた規制もよくない。AIの進化を止めないことを前提としつつ、無軌道な成長にならないよう方向修正しながらやるべき」と語った。

 同氏は「数字としてのお金は、追いかけるものではない。人類が本当に必要としているものに純粋に取り組んだ結果、思わぬ成果としてもたらされるもの。人類の未来をより良くできるような役割を果たしたい」と意欲を見せた。