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「江ノ電」のタッチ決済対応は15日から、ひと足先に江ノ島駅で体験してきた
2023年4月14日 18:17
明日4月15日から、“江ノ電”こと江ノ島電鉄の全駅にタッチ決済が導入される。三井住友カード、ビザ・ワールドワイド・ジャパン、JCB、日本信号、QUADRACとの取り組みで、乗客にとっての利便性向上や窓口の混雑緩和を図る。
決済ブランドは、Visa、JCB、American Express、Diners Club、Discoverに対応する。MastercardやUnionPayは順次追加される予定。
鉄道におけるタッチ決済の導入は、首都圏では江ノ電が初になるという。そこで今回は実際に江ノ島駅へ赴き、タッチ決済を体験してきた。
導入の背景
相模湾に面し、観光地としても高い人気を誇る神奈川・湘南エリア。藤沢~鎌倉間の計15駅をつなぐ江ノ電は、近隣住民だけでなく多くの観光客が利用する。それゆえ、新型コロナウイルスが猛威を振るう前は、特定の曜日や時間帯に乗客が集中することも多く、慢性的な遅延や運休に悩まされていた。2019年度には、約400本が運休したという。
江ノ島電鉄 代表取締役社長の󠄀楢󠄀井進氏は、「対策工事などにも取り組んできたが、ハード面の整備には限界があった。新型コロナウイルスが収束しつつあるこのタイミングで、ソフト面で施策を探していた」と語る。
今回のタッチ決済導入により、乗客にとっての利便性アップにつなげる。また、たとえば加盟店とのタイアップ施策などを通じ、地域経済の活性化も図っていく。
江ノ島電鉄 常務取締役の嶋津重幹氏は、「乗客のうち、交通系ICカードの利用者が9割で、それ以外が現金を利用している。定量的な数字は持っていないが、アジアや欧州など、外国人の利用者も多い。今回の導入で、キャッシュレス化を加速できれば」と語る。
実際に体験してみた
タッチ決済対応の改札機器としては、有人窓口向けの簡易改札機のほか、ポール型改札機が用意される。全15駅のうち、簡易改札機とポール型改札機が併設されるのは、江ノ島駅と長谷駅。鎌倉駅と藤沢駅が簡易改札機のみとなり、それ以外の駅にはポール型改札機が設置される。
江ノ島駅への入場時にポール型改札機を利用する場合、通常の改札機をいったんスルーし、その先にあるポール型改札機にタッチ決済対応のスマートフォンやカードをかざす流れ。Google PayやApple Payに対応しており、スマートフォンだけでなくスマートウォッチでも利用できる。
ホームのスペースを考慮し、ポール型改札機の下部は厚さ115mmのスリムなデザインになっている。
処理速度は実測で0.25~0.35秒
交通系ICカードの処理速度は0.2秒とされ、タッチ決済のスピードもそれに近づけるべく改良が進められている。三井住友カード Transit事業推進部長の石塚雅敏氏は、「QUADRACとの取り組みにより、(処理速度は)実測で0.25~0.35秒程度にはなっている」と自信を見せる。
QUADRACは今回の取り組みで、SaaS型プラットフォーム「Q-move」を提供。LTE通信を活用しており、障害などに備えて通信は冗長化されている。同社営業部長の高野泰典氏は「環境調査を実施し、最適と判断される複数の通信事業者を利用している」と語った。