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1年で38倍増、電車やバスで広がる「Visaのタッチ決済」国内の最新事例とは

 ビザ・ワールドワイド・ジャパンは29日、公共交通機関における「Visaのタッチ決済」の導入について、報道陣向けに説明会を実施した。

 説明会には、ビザ・ワールドワイド・ジャパン デジタルソリューションズ ディレクターの今田和成氏、琉球銀行 ペイメント事業部 部長代理の石井誠氏、東京バス 取締役統括本部長 佐藤智彦氏が登壇した。

今田氏

Visaの日本におけるキャッシュレス戦略とは?

 ビザ・ワールドワイド・ジャパンの今田氏は、同社の日本におけるキャッシュレス戦略について説明した。

 同社では、「タッチ決済」「トークン」「デビット」の3つを、キャッシュレス推進における主要な柱として位置づけている。

 続いて今田氏は、「タッチ決済」に関する国内のデータを披露した。2021年と2022年を比較した場合、公共交通機関における「タッチ決済」の取引件数は、38.1倍増加したという。

 2022年3月末時点で、国内の加盟店における「タッチ決済」の対応端末は100万台以上。また、対応カードの発行枚数は約7100万枚にのぼる。

 バスや地下鉄、鉄道などの公共交通機関でも、「タッチ決済」の導入が進む。2022年6月時点で、18道府県で25の導入プロジェクト(実証実験含む)が発表もしくは展開済みとなっている。

 今田氏は、全世界における今後の「タッチ決済」に関する展望として、2026年までに、取引件数・取引金額ともに伸びていくという予測値を披露した。

 「タッチ決済」の導入が進んでいくなかで、周辺地域の経済への波及効果も期待される。

沖縄の観光バスでの実証実験、大きな反響を呼ぶ

 琉球銀行の石井氏は、同行におけるキャッシュレスの取り組みを紹介した。

 琉球銀行は、2017年1月、関連会社で行っていた「カード加盟店業務(アクワイアリング)」を銀行本体で開始。沖縄県内の17市町村と連携協定を結び、キャッシュレスを推進している。

 2022年2月1日~3月24日までは、沖縄県内の観光系路線バスにおいて、「Visaのタッチ決済」に関する実証実験が実施された。

 琉球銀行やビザ・ワールドワイド・ジャパンなどが参加した同実験は、今年度を含む複数年度にわたって実施される予定となっている。

 沖縄県内では交通系ICカードとして「OKICA」が用いられているが、「OKICA」はモノレールと一部バス会社でしか利用できなかった。

 先述の実証実験により、「OKICA」が使えない観光系路線バスでもキャッシュレス決済が利用できるようになり、大きな反響があったという。

 石井氏は今後の改善点として、「端末機の処理スピードの向上」などを挙げ、今後の実験への意欲を見せた。

キャッシュレス決済の導入で、バス会社の負担軽減へ

 東京バスの佐藤氏は、沖縄南部の観光路線バス「ウミカジライナー」におけるキャッシュレス化の状況について説明した。

 先述の実証実験の対象バスには「ウミカジライナー」も含まれており、東京バスでは車内掲示などを活用して、「Visaのタッチ決済」などのキャッシュレス決済に関する乗客への告知を実施した。

 現金決済に対するキャッシュレス決済の比率としては、5月のゴールデンウィークに最高値となる38%を記録。2月1日~5月31日までの平均は、22%となっている。

 佐藤氏は、「キャッシュレス決済の導入が進めば、現金集計業務の負担などが軽減される」とコメントし、今後への期待をのぞかせた。