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総務省の電波オークション検討会、ソフトバンクと楽天は「落札額の高騰」「周波数の一極集中」を懸念

 総務省は14日、「割当方式検討タスクフォース」の第2回を開催した。

 同タスクフォースは、5G用周波数の割当てにおける“電波オークション”の具体的な制度設計などについて検討するもの。今回はソフトバンクと楽天モバイルの担当者が、制度設計などに関して意見を述べた。

ソフトバンク

 ソフトバンク 渉外本部 執行役員本部長の松井敏彦氏は、最初に周波数ごとの特性の違いを説明。Sub6帯域と、ミリ波帯などの高周波数帯を比較した場合、伝搬距離や回り込みの性能が異なる。

 たとえばSub6のハイバンド(時分割方式/TDD)で、通信量(トラフィック)を多く処理できるような役割をメインとしている。一方、2GHz以下の帯域ではFDD方式(周波数分割)となり、より広いエリアをカバーするかたちで運用されている。

 また、ミリ波はスタジアムなどの“超高トラフィックスポット”の活用のほか、新たな領域での活用も模索されている。

 松井氏は、Sub6帯域の候補周波数帯とされる4.9GHz帯について、「広域なエリアカバレッジに適しているため、従来の総合評価方式による割当てが適しているのでは」とコメントした。

 一方、ミリ波帯については、「スポット的な利用に加え、イノベーションなどの創出を後押しする観点から、条件付きオークションも選択できると思う」と語った。

 ミリ波以上の帯域については、「新たな領域での活性化が重要」と松井氏。需要に応じて柔軟に基地局を整備できる制度など、環境整備の大切さを強調した。

 条件付きオークションの実施にあたっての考慮事項として、松井氏が挙げたのは「周波数幅と入札枠の確保」「周波数の一極集中の回避」「競り上げ回数制限の設定」の3つ。特定の事業者が周波数を総取りできないようにしたり、落札額の高騰を防いだりするための制度設計が必要であるとした。

 割当ての単位について、松井氏は「全国免許が望ましい」とコメント。都市部や地方部を問わず、さまざまな地域でのイノベーション創出を見すえる。

 そのほか、周波数の特性を考慮した場合に、エリアカバーの“面的整備”を指標として設定することは不適であるとした。

 「同時競り上げオークション(Simultaneous Multiple-Round Auction、SMRA)」や「組み合わせ時計オークション(Combinatorial Clock Auction、CCA)」が存在するオークションの方式について、松井氏は「周波数ごとのコンディションによって都度決定するのが合理的ではないか」と語った。

楽天モバイル

 楽天モバイル 執行役員 技術戦略本部長の内田信行氏は、ミリ波などの高周波数帯に関する条件付きオークションの適用について、「これまで主張してきた内容は変わらず、特に新しいことはない」とコメント。

 オークション方式について、ソフトバンクと同様、「落札額の過度な高騰」「特定事業者への周波数の集中」の懸念点があるとした。

 ミリ波については空いている帯域が多く、先述のような懸念事項が現実のものになる可能性は低いとしつつ、「後発事業者への配慮は必要」と内田氏。

 一例として挙げられたのは、各社が保有する周波数に上限を設ける「周波数キャップ」の設定。また、事業者が周波数の価値を確実に把握することはできないとして、内田氏は「競り上げ回数を1回にとどめるべき」と述べた。

 内田氏は割当ての単位に触れ、「(割当ての単位は)全国にすることが望ましい」とコメント。続けて「地域別の割当ての例として、NTTドコモが東名阪、楽天モバイルが東名阪以外で使う1.7GHz帯が挙げられるが、そう簡単なことではない。周波数の利用率が下がることも考えられる」と語った。

【お詫びと訂正 2023/03/15 10:16】
 記事初出時、登壇者の名前に一部誤りがございました。お詫びして修正いたします。