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公取委、アプリストアの競争環境を調査「アップル/グーグルに独禁法問題となる懸念」

 公正取引委員会は2月9日、スマートフォンのOSやアプリに関する調査を実施し、「アップル(Apple)とグーグル(Google)による独占禁止法上問題となる行為/懸念がある」旨の報告書を発表した。

 今後、海外の関係当局と継続的に連携し、競争環境を整備するとしている。

市場の状況

 公取委では、市場をiPhoneやGoogle Pixel、Android端末といった「端末市場」と、iOSやAndroidといった「モバイルOS市場」、App StoreやGoogle Playといった「アプリ流通サービス市場」、そしてAppleやGoogleなども含んだアプリ自体の「アプリ市場」の4つに分類し、まとめて「モバイル・エコシステム」と称している。

 調査では、「モバイルOS市場」と「アプリ流通サービス市場」について調査を実施し、「十分な競争圧力が働いていない」との結果がまとめられた。

独禁法上問題となる恐れ

 アップル(Apple)とグーグル(Google)は、ともにOSの開発やアプリ市場(App StoreとGoogle Play)を運営していながら、自社でもアプリを開発している。

 たとえば、OSで自社を優遇するアップデートをしたり、アプリストアでの手数料徴収やアプリ審査における不当な取り扱い、他社アプリから収集されたデータの利活用など自社優遇となる行為が行われると、独占禁止法上の「私的独占」や「取引妨害」といった問題になる恐れがあると指摘。

 また、アプリのプリインストールや削除ができない仕様にしていたり、自社アプリをデフォルト設定していたり「消費者の合理的な選択に影響を与える自社優遇」では、「抱き合わせ」や「排他条件付取引」、「拘束条件付取引」などの問題になる恐れがあるという。

 このほか、「高額な手数料を一方的に設定」するものや、「OSの仕様変更による多大なコスト発生」についても公取委は指摘している。

 一方、「アプリ集流通サービス市場」や「モバイルOS市場」では、そもそも競争が十分に行われていないとし、今後ほかの事業者による参入の余地を拡大するなど、市場における健全な競争環境の整備を図ることが、競争環境確保に有効とした。

公取委の今後の対応

 公取委は、引き続き事業者の「独占禁止法上問題となる案件」に接した場合に厳正かつ的確な対処を行うことや、内閣の「デジタル市場競争本部」や関係省庁などとの連携、協力に積極的に取り組み、競争環境の整備を行うという。

 また、スマートフォン以外の新たなエコシステムに関する動向についても注視することや、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)などの場を活用しながら海外当局との意見交換など継続的に連携し、競争環境整備に努めるとしている。