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IIJの2022年度は増収増益、「ギガプラン」の増量は市場の高評価得る

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2023年3月期決算を発表した。通期での売上は2527億800万円、営業利益は272億2100万円で前年比で増収増益の黒字決算となった。

左から渡井氏、勝氏、鈴木氏

 決算発表の場には、IIJ 代表取締役社長 Co-CEO&CEOの勝栄二郎氏、専務取締役 CFOの渡井昭久氏、代表取締役会長 Co-CEOの鈴木幸一氏らが登壇。同社の現況と今後の取組について語った。本稿では主にモバイル事業について取り上げる。

個人向けは売上横ばいも回線数は増

 個人向けモバイルサービスの「IIJmio」の売上高は50億8000万円。前期比で見ると横ばいの結果だった。一方で回線数は増加基調。第4四半期末時点で120万6000回線で、前四半期比で1万回線増だった。

 このうち、ギガプランの回線は90万8000回線で、旧プラン回線は28万6000回線という。

 勝氏によれば、4月1日に料金を据え置きながら、4GBプランを5GBに、8GBプランを10GBとしたギガプランの改定が好評。22年度の決算には影響しないが、量販店などでの引き合いが増えており、5GBプラン(旧4GBプラン)への注目が集まっている。今後の戦略として「個人向け、法人向け、MVNEをバランスよく伸ばしていく必要がある。これがネットワークの効率的使用につながる」と説明した。

 同社では、2023年度は端末の売上が下がることで個人向けサービスは横ばいになるとの見通しを示している。

法人モバイル

 法人向けモバイル事業の売上は111億8000万円で、前年比で9億2000万円の売上増。回線数は四半期末で181万回線となり、前四半比期比で12万4000回線増となった。

 また、他MVNOへ回線を提供するMVNE事業の売上は100億7000万円で前年比で2000億円の減収だった。帯域単価低下による期初単価低下影響が響いたが、低下度合いは想定内という。

 回線数は112万回線、顧客社数は、181社でどちらもそれぞれ前四半期比で3万4000回線増、前年比で11社増と伸びている。

23年度はさらなる成長目指す

 同社では2022年度の総括として、コロナ禍が終焉を迎えたものの、高需要が継続し売上の成長率加速につながったと説明。個人獲得ペースは上振れで推移し訪日外国人向けの販売も復調した。2023年度の見通しとしては売上は約13%増の2860億円、営業利益は約16%増の315億円を目指す。

 各事業が順調に上振れしていることから、2021年度~2023年度の中期経営計画で定めていた目標値は3度目の上方修正が加えられたかたちとなった。

 このほか、同社では新卒採用を増加し、人的資源を強化。渡井氏は「従来規模の約1.4倍。事業拡大を図る際に人手が足りないということで採用を強化している」と説明した。

 鈴木氏は同社が開催するエンジニア育成の取り組み「IIJアカデミー」について触れ、日本のICTの現状について「ネットワークエンジニアの層が薄い」と指摘。ICT活用について、利用者側・提供者側の双方のレベルを上げる必要性を訴え「IIJとしても日本の将来を考えて、もう少し工夫してスケールを出しながらエンジニアを育成したい」とコメントした。