京セラなど3社、ローカル5Gを活用した自動走行および4K映像の実証実験を実施

　熊谷組・京セラ・日本電気は、熊谷組技術研究所屋外実験ヤードにおいて、ローカル5Gを利用した建設機械2台の自動走行と、4Kカメラ映像伝送の実証実験を2022年11月に実施し、4K映像の送受信を確認できたことを発表した。

京セラ製ローカル5G対応デバイスを搭載した2台の建機

　実験では、技術研究所内の建物にNEC製ローカル5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けた。

　遠隔操作ならびに自動走行が可能な建機上には、受信電力情報をリアルタイムで取得できる京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を設置した。車載4Kカメラの映像を、IPネットワークの上り回線を通じて高速なパケット伝送を行い、遠隔操作室内に設置されたディスプレイにデコーダー出力を80msecで表示することが可能となった。

デコードされた車載4Kカメラ映像（建機2台分）

　実験の結果、移動する建機の位置を遠隔操作室内のディスプレイによって確認したという。加えて、「K5G-C-100A」で取得された受信信号とGPS情報を使用し、屋外実験ヤード内を移動した際の受信電力特性を確認した。

屋外実験ヤード内を移動した時の受信電力特性の一例。濃い青色ほど受信電力が高い

　ヤード内では、4Kカメラ映像を安定的に伝送できる電力値であることが確認された。位置情報と受信電力特性の情報を活用することで、屋外実験ヤード内の建機2台が、往路と復路のルートに対して安全間隔を保ちながら自動走行できるようになった。

実験の背景と目的

　近年、すべての建設プロセスにおいてICTを活用する「i Construction」に関する取り組みが進んでおり、災害補修時の二次災害予防のための無人化施工技術に注目が集まっているという。

　無人化施工技術の高度化には、建機への4Kカメラ搭載による映像の高品質化や、建機の傾きや振動などを検知するセンサーによる現場情報のフィードバックが必要となる。実現のために、高速で低遅延な伝送を可能とする無線通信システムが求められている。

　そこで、個別ニーズに応じて構築可能なローカル5Gに注目し、屋外実験ヤードに構築されたローカル5Gシステムを用いて、2022年6月に実証実験が行われた。結果として、屋外実験ヤード内での高い上り回線の伝送速度、低遅延性能が確認された。

　これを踏まえ、今回は2台の建機の自動走行の実証実験が行われた。