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レーザーや部屋の照明を活用、ドコモが提案する次世代の充電方法

 NTTドコモは「docomo Open House'23」において、長距離のワイヤレス充電や室内光で充電するパネルでモバイルバッテリーを充電する技術を公開した。将来的な商品化を目指している。

意識せずに充電する「充電ストレスフリー」

 公開されたのは、光レーザーを使うことで数メートル先のデバイスをワイヤレスで充電する技術。スマートフォンやワイヤレスイヤホン、スマートウォッチなど充電を必要とするデバイスが身近になった一方、それらを充電する煩雑さが課題となりつつある。

中央の黒い部分がレーザーを発射する
車両の上にある細長い黒い部分がレーザーを受ける

 ワイヤレス充電器は徐々に普及しているが、今回公開されたものはその一歩先を行き、充電器から離れたデバイスに光レーザーを使って給電する。一定の範囲内に入ると充電が始まるため、そもそも「充電する」という行為を意識させない「充電ストレスフリー」をかかげる。

違和感なくインテリアに溶け込むデザインを目指している。デバイス側にはレーザーを受ける外付けの充電器も構想

 内蔵バッテリーが不要になり、デバイスの小型化が実現できるなどのメリットも説明されている。会場では、鉄道車両のおもちゃを照明器具と一体化した充電デバイスから送電し、走行する様子が披露された。

部屋の明かりでデバイスを充電

 環境にも配慮した「室内光充電」の技術もあわせて公開された。

ソーラーパネルのように見えるが、室内光でも十分に発電できる特長を備える

 住宅の室内を照らす照明の光をデバイスの充電にも活用するという取り組み。照明器具は照らすことに集中していて、エネルギーとしては十分に活用されていないということに着目し「色素増感太陽電池」を活用してスマートフォンなどの充電に活かす。

裏側にモバイルバッテリー
複数連結して充電

 会場では、開発途中のデバイスでモバイルバッテリーに充電する様子が公開された。将来的な市販を目指しており、デザインは実際に手に取ってもらえるようにデザインにも力が入れられている。現状では会場内の照明をエネルギーに、9枚のパネルを連結しても4000mAhを充電するのに120時間ほどが必要という。

 ワイヤレス充電も室内光発電も、現時点ではどちらもスマートフォンなどを充電するほどの効率は実現できていないものの、IOWNで構想されている「光電融合技術」で、スマートフォンなどの低消費電力化が進んだ際には、こうした充電方法も一般的になるとみているという。