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総務省、「プラチナバンド再割当て」などに関する報告書を公表

 総務省は27日、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース報告書(案)」に関する意見募集の結果を公表した。募集期間は11月10日~12月9日で、63件の意見が提出された。

 また、意見募集の結果を踏まえ、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース報告書」が取りまとめられた。本稿では、タスクフォースでまとめられた報告書と、提出された意見の一部を紹介する。

「プラチナバンド再割当て」について

 4Gサービスでは1.7GHz帯だけでサービスエリアを構築する楽天モバイルは、電波がより届きやすいとされるプラチナバンド(700~900MHz帯を指す国内通信事業者の業界用語)の割当を求めている。

 総務省では「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」を2月から開催。すでに携帯大手三社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に割り当てられている周波数帯の再割当てについて、議論が進められている。

今回の報告書で決まったこと

 「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」は、楽天モバイルから再割当要望のあったプラチナバンドを念頭に置き、申出によって開設指針の制定が決定した場合の「移行期間」や「移行費用の負担」などを検討するもの。

 今回の報告書では、競願の申出によって既存免許人以外の事業者に再割当てを実施する場合、申出のあった周波数帯について、携帯電話システムに割り当てる可能性のある周波数が存在する場合は、その活用を考慮する必要があるという文章が加えられた。

 11月30日には、総務省で開催された「新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班」で、700MHz帯にある使われていない周波数(電波)を携帯電話用として活用できるよう、NTTドコモが提言。技術面での検討が進められることになっている。

 移行期間については、電波法の免許の有効期間が5年間であることや、再免許が保障されていないことを踏まえ、標準的な移行期間が「再割当ての時点から5年間」とされている。

 標準的な移行期間を超過する場合は、開設計画の審査で優位と判断された新規認定開設者が周波数を早期に利用できるよう、既存免許人の周波数利用を停止するための作業を順次実施し、無線局を漸減させることが求められる。

 そのほか、プラチナバンドにおける移行費用の負担に関する考え方として、「レピーター」と呼ばれる中継装置の交換や基地局の増強については、原則として既存免許人の負担となる。

報告書(案)に寄せられた意見

周波数の再割当制度について

 NTTドコモは、周波数の再割当制度について、「国民共有の財産である周波数の有効利用の促進にあたり、携帯電話が使いづらくなるような、安定的な運用を損なうことにつながる再割当てはなされるべきではない」とコメント。ユーザーの利便性の維持が必須であると強調した。

 KDDIは、「デジタル変革時代の電波政策懇談会報告(令和3年8月)」における「プラチナバンドの割当てを受けた事業者は広いエリアカバーが求められる」という要旨を引き合いに出した。後発事業者が既存免許人の実績(エリアカバー・基地局数)以上の計画を有することに加え、計画実現に向けた安定的な事業・財務基盤が新規の事業者にあるかどうかを評価することが必要とした。

 ソフトバンクは、再割当制度における開設指針の制定を想定した際、求められる評価項目として、「容量ひっ迫度などの指標による評価」「小数点第一位(例:0.1%単位)での詳細なカバー率の比較」などを挙げていた。

周波数移行について

 KDDIは、後発事業者が無線局を開設する場合、先発事業者の無線局の運用を阻害するような混信などを防ぐ必要があるとコメント。過去の事例と同様、妨害が確認される場合は、後発事業者が対処する必要があるとした。

 また、後発事業者の基地局開設後に、既存免許人の利用者への影響が確認された場合は、後発事業者と既存免許人ですみやかに協議し、基地局の停波などを含めて回避措置をとる必要があるとしている。

移行費用の負担について

 楽天モバイルは、「『申出人への再割当てにより、既存免許人の周波数の使用を停止するための費用(移行費用)については、既存免許人の負担を原則とすることが適当』とする報告書(案)の考え方に賛同する」との意見を提出していた。

プラチナバンドにおける移行期間について

 プラチナバンドの再割当てにあたっては、レピーターの交換に必要な期間について、NTTドコモは7年、KDDIは10年、ソフトバンクは6年弱と算出している。

 楽天モバイルではこれらの結果を踏まえ、「プラチナバンドの再割当てについて開設指針が制定される場合、5年を超える周波数の移行期間が設定される。また、移行できるようになった場所から徐々に移行するようなかたちが適用されると理解している」とコメントしていた。