臨場感たっぷりの新感覚ビデオ会議「空間自在ワークプレイスサービス」がスタート、KDDIとJR東

　KDDIとJR東日本は、遠隔地にいる人ともその場にいるかのような臨場感で対話できる「空間自在ワークプレイスサービス」の提供を開始した。

　同サービス内では、駅付近などの拠点で利用できる「空間自在ワークプレイス」とオフィスなどの専有場所で利用できる「空間自在コネクター」の2種類が提供される。料金形態はそれぞれで異なり、空間自在ワークプレイスの利用料金は「ライトプラン」が4時間につき3万3000円。「レギュラープラン」が8時間につき5万5000円。空間自在コネクターは、必要な機材をオフィス内に設置することで利用できるもので、基本料金は月額55万円。初回の設定手数料は11万円となる。

　両社は2021年に実証実験を実施しており、2022年10月から正式なサービスとして提供を開始した。

一緒にいるかのような体験が可能

　9日、メディア向けに東京都の東京駅八重洲中央口付近の「STATION DESK 東京 premium」で「空間自在ワークプレイス」を利用するデモが公開された。

東京駅構内のビューゴールドラウンジ内に「STATION DESK 東京 premium」がある

　STATION DESKは、JR東日本が提供するシェアオフィス。空間自在ワークプレイスは、その一角で利用できる。机とイスが用意されており、利用者はパソコンを持ち寄り、参加者と会話をする……。

「ジーンズの後ろの色をもう少し濃くできませんか？」　高画質かつ大画面なディスプレイのおかげでこんなやりとりもできる。下に並ぶのはリモートで参加する人

　これだけならばごく普通のビデオ会議の様子だが、室内には大型のディスプレイやカメラが設置されており、リモートの参加者はそこに映し出されている。4K相当で映し出される映像は、一般的なビデオ会議サービスに比べると極めて鮮やか。大画面も相まって、対面で向き合っているのと遜色ない体験を得られる。

　気になるほどの遅延が発生している様子もなく、ビデオ会議にはありがちな複数の人間の発言が被るといったこともなさそうだ。音声は、参加者すべての声をクリアに拾って届けるという実証実験時の仕様から変更された。本サービスでは、発声者のいる方向から聞こえてくるようになっており、これもまた臨場感を高めるひとつのポイントになっている。

　ディスプレイには、会議で使う資料を投影できる。これも実証実験時には、資料は別の画面で投影する仕組みになっていたが、別々に投影すると資料しか見られないということで、ひとつの画面に合わせて表示する仕組みになった。資料のサイズや透明度、表示位置などは自由に変更できる。透明度を上げれば、参加者の表情も確認しながら資料も読み取れるという、対面会議では不可能な体験も可能だ。

操作はスマートフォン上からできる

カメラ、スピーカー、プロジェクター

パソコンからも参加できる

　一方で、会議の参加者が必ずしも設備のあるルームに入れるとは限らない。そんなときもパソコンから「バーチャルコネクター」機能を使っての入室にも対応する。

　空間自在ワークプレイスでの参加者と同様に資料も確認できるほか、画面を拡大して参加者の姿をよく確認する、といった使い方もできる。

　ブラウザからアクセスして使うWebアプリのため、専用のソフトウェアのインストールは不要。回線やパソコンのスペックを考慮して、4Kよりは低い解像度で配信されるという。画質の低さを実感する場面はなかったが、今後回線やデバイスの進化次第ではさらなるクオリティ向上を期待できるかもしれない。

ビジネス以外の利用も

　社内・社外を問わずさまざまな利用が可能としており、KDDIとJR東日本では、想定される利用シーンとして各種会議のほか、製造現場と営業・企画部門間でのコミュニケーション、オフィス間での「ちょっとした雑談」や採用面接といったケースを挙げている。さらに、習いごとや懇親会などビジネス以外での展開も可能とする。

　今後、表情・音声分析から健康・メンタル管理や社員の状態をリアルタイムに可視化する仕組みも導入される予定。

　現時点で「空間自在ワークプレイス」が展開されている場所は、東京都、神奈川県、大阪府で全5拠点。現在の5拠点での使われ方やユーザーの声などをもとに今後の展開が決まる。基本的には都市部が中心となることが見込まれる。