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西新宿で「5G」「メタバース」「自動配送ロボ」2024年度実現へ、宮坂副知事らが語るその狙い
2022年9月21日 00:00
東京・西新宿エリアにおいて最先端のサービスを実装して新たなまちづくりを目指す「西新宿先端サービス実装産官学コンソーシアム」が発足した。5Gやメタバース、自動配送ロボットなどを駆使した新サービスを、2024年度をめどに実現していきたい考えだ。
高層ビル立ち並ぶ西新宿で
新宿駅の西側にある西新宿エリアは、都庁をはじめとして大規模なビルが建ち並ぶエリアだ。
新宿NSビル、京王プラザホテル、KDDIビル、新宿アイランドビル、新宿住友ビルなど、日本でも有数のビル群だが、この一帯で先端的なサービスを実現することで、街のさらなる活性化と発展を目指すのが今回のコンソーシアムだ。
西新宿エリアでは、2010年に新宿副都心エリア環境改善委員会が設立され、ビル群に居を構える多くの企業が参加。ビル単体の集客や環境への取り組みには限界があるとして、公共空間を含めてエリア全体の利活用を目指していた。2020年にはこれが西新宿スマートシティ協議会へと発展した。
協議会では、自動配送ロボットやARナビアプリなど、8件の実証実験を実施。これをさらに発展させ、実際の本サービスとして実装することを目指して、産官学が連携したコンソーシアムを設立された。2024年度までに成果として本サービスをスタートしたい考え。
都副知事の宮坂学氏は、「サービスを提供する民間事業者のみならず、地元企業が多く参加しているのが特徴」と話し、都や民間企業の意向だけでなく、地元民の声を取り入れてサービスを実現していきたいと話す。一大ビル群だが、エリアを1つの商店街と見立て、地域の活性化を目指すのが今回の取り組みだ。
5つの分野でサービス実装目指す
コンソーシアム発足時点で61社・者が参加。今後も順次参加企業や団体などを募っていきたいとしている。まずは5つの分科会を立ち上げ、参加者が共同でサービス実装を目指していく。
たとえば自動配送分科会(代表・川崎重工業)では、自動配送ロボットを川崎重工業が開発し、自動運転システムをティアフォーが、5G通信環境をKDDIが提供。フードデリバリーのmenu、医療物資の配送・回収の武田薬品工業が、それぞれサービスを提供する。
実際の実証実験は、2022年冬に1カ月ほどだが、それまでに分科会で様々な議論を行い、実験後も同様に議論を進めていくことで、最終的に本サービスとしての実装を目指す考え。
リアルハプティクス✕5G
他にもモーションリブが代表の「感触制御技術を活用した社会課題の解決手段の検討分科会では、同社が開発した感触制御技術「リアルハプティクス」を応用。同技術搭載デバイスと5G、ARを組み合わせることで、スマートフォンの画面内に現れる動物に触れて、その本当の感触を感じられる、という実験を行う。舞台は新宿中央公園で、「新宿感触動物園」を2023年2月中旬に提供する。
乗換案内で回遊性をアップ
ジョルダンが代表の地域の認知度向上・事業参画を促進するデータ連携プラットフォーム分科会では、ジョルダンの乗換案内・スマートシティモードをさらに拡張してエリアの回遊性向上などに繋げる。
小田急はXR、大成建設はデジタルツインをリード
小田急電鉄が代表の地域の魅力向上に向けたXRの都市実装検討分科会では、VR/ARを使った施設やサービスを提供。
大成建設が代表の都市サービスの創出と実装を実現するデジタルツイン分科会では、同エリアの高精度な3D都市モデルを構築して新たなデジタルツインを構築。様々なユースケースの基盤としての確立を目指す。
こうした5つの分科会が、実際に事業化してサービスを提供することを目指した活動を行い、2024年度にはこれを実現。その後も、継続した取り組みを続けていくことが想定されている。
大学も参画、西新宿全体での実装へ
参画企業の中には、モーションリブやcotonが大学発のスタートアップで、筑波大学岩田研究室のような大学からの参加もあり、事務局となる東京都側も、各種の手続きや関係機関との調整で積極的に参加し、社会実装に向けて連携したい考えだ。
今後は、先端サービスを単独の企業が事業化するだけでなく、西新宿エリア全体で連携することで、持続的な展開と発展を目指していく。