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スマホとXRで新宿がテーマパークに!? ドコモと小田急の共催イベントを体験してみた

 NTTドコモと小田急電鉄は、今月21日から、スマートフォンアプリ「XRシティ」を活用したXR体験イベントを開催している。期間は8月8日まで。

 利用者は、新宿駅周辺にある所定のスポットで、アプリ「XRシティ」をダウンロードしたスマートフォンを使い、さまざまなXRコンテンツを楽しめる。

 このイベントは、ドコモと小田急が取り組むまちづくりプロジェクト「XRシティ SHINJUKU」の第2期プロジェクトとして実施されているもの。

 本記事では、同イベントの体験レポートや、担当者による質疑応答の様子などをお届けする。

イベントを実際に体験する

 イベントの体験スポットは、「小田急百貨店新宿店」「新宿サザンテラス」「新宿中央公園」「歌舞伎町シネシティ広場」「モザイク通り」「東京ミステリーサーカス」の計6カ所。

 上記スポットでアプリ「XRシティ」を開き、チュートリアルに従って操作をしていくと、コンテンツを楽しむ準備が完了する。

 今回は6つのスポットのうち、モザイク通りと新宿サザンテラスでコンテンツを体験した。両スポット共通で、「キャラ」「謎解き」「アート&空間らくがき」の3つのコンテンツが用意されている。

 「キャラ」は、バラエティ豊かな3Dキャラクターがデバイスの画面上に現れるものとなっている。

 続いて「謎解き」では、「リアル脱出ゲーム」を開発したSCRAPの監修による「AR謎解き」が楽しめる。

 最後の「アート&空間らくがき」では、現実空間にデジタルアート作品がARで浮かび上がるほか、らくがき機能を使って空間をデコレーションできる。

まずはモザイク通りでコンテンツを体験する

 モザイク通りの「アート&空間らくがき」は、ポルトガル・アゲダの傘祭りが出現するというもの。体験日はあいにくの曇天だったが、スマートフォンを空にかざして現れたカラフルな傘が、グレーの空に彩りを与えてくれた。

「アート&空間らくがき」では、空にパラソルが浮かび上がって見えた

 「AR謎解き」では、指示に従ってスポット周辺を歩き回り、謎を解き明かす必要がある。

 過去に海外で脱出ゲームに挑み、あえなくタイムアップになったことがある筆者の主観では、難易度は「そこそこ高め」。ただし、さまざまな人が楽しめるようヒントも用意されているため、一体どんな謎が隠されているかはぜひその目で確かめていただきたい。

「AR謎解き」の様子

 次に新宿サザンテラスへ移り、ここでもコンテンツを体験する。

 「キャラ」のコンテンツでは、人気漫画「銀魂」のキャラクター「志村新八」が登場した。現実世界とアニメの世界が融合するという演出は、アニメファンの方でなくても楽しめることうけあいだ。

新宿サザンテラスでもコンテンツを体験
人気漫画「銀魂」のキャラクター「志村新八」が登場

 なお、コンテンツの特性上、利用者はスマートフォンを手に持って歩き回ることになる。そこで、いわゆる「歩きスマホ」の警告メッセージが現れ、利用者に対して注意を促す形になっている。

質疑応答

 イベントの体験後、ドコモ ビジネスクリエーション部 XRビジネス推進担当部長の奥村浩之氏と、小田急電鉄 まちづくり事業本部 新宿プロジェクト推進部課長の北島大氏が、質疑応答に応じた。

写真左=奥村浩之氏、写真右=北島大氏

――今回のようなイベントを開催する意義について教えてほしい。

奥村氏(ドコモ)
 XR技術を使って新しいサービス価値や体験を生み出せるということが、我々にとっての大きな意義のひとつになる。

 コロナ禍で人が集まることが難しくなっている中で、時間や場所の制限を受けずに人々が楽しめるというイベントは、時代に合っていると考える。また、このような取り組みをXRを通じて支援していくことは、我々のビジネスにも通じるところがある。

北島氏(小田急)
 新型コロナの影響で人々の生活が制限されているが、今回のような取り組みを通じて「集まらなくても楽しめる」ということを提案していきたい。それにより、生活を充実させることが可能になる。

 今後は、「日常の中に非日常を接近させること」が、人々の新たな楽しみ方になるのではないか。今回のイベントは、その実証の場になると考えている。

――体験スポットの選定基準について教えてほしい。

奥村氏(ドコモ)
 我々としては「このような場所であればARを出しやすいのでは」というアイデアを出させていただいた。そして、小田急さん側からは「象徴的な場所」「人々が楽しめる場所」という意見があり、協議をした結果、今回の場所に決定した。

 将来的に、コンテンツを楽しめる場所は増えていく見込み。

――共同プロジェクト「XRシティ SHINJUKU」の構想は、そもそもどんなことがきっかけだったのか。

奥村氏(ドコモ)
 XRを5Gと一緒にどう浸透させていくか考えていた我々が、街の活性化を検討していた小田急さんと議論させていただく場があった。

 そうした中でプロジェクトの構想が固まったため、どちらか一方が「これをやりましょう」と持ち込んだ形ではなく、お互いの目指す方向が一致した形になる。

――XRを5Gと一緒に普及させていきたい理由は。

奥村氏(ドコモ)
 XRは、面白いことができる代わりにコンテンツが大容量であるというウィークポイントがある。このような課題を解決できるものとして、高速かつ大容量な5G通信は、親和性が高いと考える。

 我々の事業のひとつはハードウェアの販売であり、XRをトリガーにして、スマートフォンにとどまらず新たなデバイスの販売なども進めていきたい。