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KDDIや川重ら6社、西新宿で料理や医薬品をロボットに配送させる取り組みを実施――都庁の下で配送ロボットが働く

 KDDIと川崎重工業、ティアフォー、損保保険ジャパン、menu、武田薬品工業の6社は、5Gを使った遠隔監視で運行する複数台の配送ロボットを使った自動配送プロジェクトを2月10日まで実施する。食事や医薬品などをロボットによる自動配送サービスを提供するもので、人手不足のなかで安定的な物流サービスの提供を目指していく。

 今回のプロジェクトは、東京都の「西新宿の課題解決に資する5G等先端技術サービスプロジェクト」の取り組みとして実施される。具体的には、menuで注文した食品を配送ロボットが自動配送するサービスや、遠隔でのオンライン診療や服薬指導を行いロボットが自動配送するサービスを実施する。

西新宿の街をロボットが自動運転

 今回のメディア発表会では、フレッシュネスバーガー新宿三井ビル店から注文した商品を京王プラザホテルまで届ける流れと、実際の患者がオンライン診療と服薬指導を受け、東京医科大学病院から医薬品を配送し、医療廃棄物を患者から受け取るまでの流れが披露された。

 ロボットは、周囲の状況を自分で分析し、歩行者や歩道を横切る車両を検知し必要があれば停止する。信号などでは、遠隔で人が確認し、問題なければゴーサインを出して走行をさせるしくみ。

 ロボットの上部にある荷台は、走行中など普段はカバーに覆われており、ユーザーが指定された二次元コードを読取り部に読ませると、カバーが開閉して荷物の出し入れができるようになっている。

料理の配送
配送に使用するロボット
フレッシュネスバーガーのスタッフが、料理を荷台におさめる
正面には顔のようなアニメーションも
配送品を受け取るようす
医薬品の配送/医療廃棄物の回収
医師からオンライン診療を受ける様子
薬剤師からオンライン服薬指導を受ける様子
東京医科大学病院に到着した配送ロボット
医薬品が荷台におさめられる
患者が荷物を受け取る。荷台のカバーは二次元コードを読み取らせると自動開閉する
車椅子のユーザーでも取り出せる高さ
医療廃棄物を回収するようす
配送中のロボット
信号機のない横断歩道も自動走行する
青信号を遠隔で確認し、ゴーサインの後にスタート
今回は、ロボット同士が隊列走行するようすも見られた

実装に向けての取り組みを加速

 これまでも西新宿の公道で、自動配送ロボットによる配送実験が行われている。今回は、さらに継続的なサービス提供に向けて課題の洗い出しを実施する。

 前回の実証実験では、フードのケータリングサービスのシーンをイメージしており、あらかじめ決まった料理を、決まった時間に、決まったユーザーに提供するものだった。今回は、menuでオーダーされた料理を届けることになるため、料理の種類も時間もユーザーも注文を受けてからでないとわからないという、オンデマンドに近い環境で実証する。

 既存の配達員を代替するためではなく、夜間など配送員が不足するシーンや、雨天など配送ニーズが高くなるシーンに対して、配送を補助する立ち位置を想定している。あわせて、温度管理など配送品質を向上させる取り組みも進めるという。

 また、新たなニーズ発掘という観点で、医療物資の配送回収も今回実施する。

 東京医科大学病院と患者が今回の取り組みに協力し、事前にオンライン診療と服薬指導を実施し、処方箋医薬品の配送や、注射針などの医療廃棄物(実証ではダミーを使用)を患者から回収して病院まで届ける作業をロボットが行う取り組みを実施する。

 ロボットを媒介することで、非接触でのやりとりができる点や、遠隔監視による荷物のトレーサビリティ管理、長期間服用する薬をまとめて配送できる点など、ロボットが担う利点の検証も進めていくという。

 定期的に受診し薬を持ち帰る必要がある慢性疾患をもつ患者について、治療の継続性を向上させるべく、自宅でのオンライン診療や医薬品の安全かつ効率的な配送を実施する知見の獲得を目指すとしている。