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総務省、7月上旬の通信障害でKDDIと沖縄セルラーに行政指導――再発防止とユーザー周知の徹底求める

 総務省は3日、7月上旬に発生した通信障害をめぐり、KDDIと沖縄セルラーに行政指導を行った。

 同省では、今回の障害について電気通信事業法に規定される重大な事故との認識を示しており、61時間25分(KDDIの報告にもとづく)の間、音声通話とデータ通信が利用しづらくなったことの社会的影響は極めて大きいとした。

 KDDIは今回の行政指導を受けて「このたびは長時間にわたり、全国のお客さま及び法人のお客さまに多大なるご不便とご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。社会インフラを支え安定したサービスを提供しなければならない通信事業者として、今回このような事象を発生させたことを重く受け止めています。再発防止策の徹底を図り、サービスの安定的な運用に向けて、全力をあげて取り組んでいきます」とコメントしている。

再発防止・新たな対応策求める

 KDDIが総務省に提出した報告書では、全国中継網におけるコアルーターのメンテナンス作業の手順書に誤りがあったことから、障害が発生するに至ったとされている。

 再発を防止するため、メンテナンス作業時の作業手順書の管理ルールや作業承認手法の見直し、切り戻し設定時間の基準見直しなど事前準備の徹底を求めた。また、全国のVoLTE交換機と加入者データベース間で、ごく短時間で輻輳が発生し、輻輳制御が自動で機能しなかったことから、VoLTE交換機へのより詳細な輻輳検知ツールの開発や制御を見直すべきともされている。

 今回の障害では一部のVoLTE交換機が、輻輳によって壊れたバックアップファイルをもとに位置登録要求信号の再送を繰り返し、加入者データベースのセッション情報データが不一致になるなど複数のトラブルが発生したことから復旧に長い時間を要した。

 このことから、輻輳発生時の復旧手順の見直しやVoLTE交換機の輻輳解消ツールの開発などで複雑な輻輳状態を考慮した復旧手順の確立を促している。

ユーザー周知にも課題

 同省では技術的観点以外に、ユーザー周知についても問題視。携帯電話が重要なインフラとなっていることから、事故発生時にはその状況や緊急通報などへの影響、代替手段、復旧見通しなどのユーザーが必要とする情報を「適時にできるだけ具体的にわかりやすく」提供できるよう、体制を整えるべきとされた。

 ユーザーへの周知のあり方については、業界としてのルール策定へ向けて率先して取り組むよう呼びかけている。

 合わせて、障害発生時の緊急通報機関の関係機関や法人顧客などへの連絡体制を抜本的に強化、連絡を徹底することも求めた。

 加えて、今回の障害の教訓を業界全体で共有することは不可欠として、発生原因、措置状況、再発防止策の詳細をほかの携帯電話事業者にも説明し、情報共有する機会を早急に設けることとされたほか、「電気通信事故検証会議」の検証で追加の再発防止策が必要とされた場合は、それについても取り組むこととされた。

 今回の指導の実施状況については、10月末までの状況を11月10日までに報告するとともに、当分の間は3カ月ごとに実施状況を取りまとめ、翌月15日までの報告が必要としている。