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新型ポメラ「DM250」、IMEやスマホ連携など文字入力デバイスとして正当進化

 キングジムは、デジタルメモ「ポメラ」の新型「DM250」を発表した。7月29日の発売で価格は6万280円。本誌ではすでに別記事で、その概要をお伝えしているが、12日に開催された発表会では、開発の経緯や商品コンセプトが語られた。

誤用を指摘する機能も搭載

 ポメラは、テキスト入力に特化した物理キーボード搭載のコンパクトなデバイス。新型となるDM250では、専用の日本語入力システム「ATOK for pomera[Professional]」に言葉を誤用したときに修正を提案する、校正支援機能を追加した。

 「地面」というワードを入力したときに「ぢめん」と打つと自動的に「『し』に濁点ではないか」と提案される。キングジム 開発本部の清水翔平氏は「変換がうまくいかないだとか、後から入力し直す必要がなくなる」とメリットを語る。

 「風前の灯火」を「空前の灯火」などと入力すると、それも認識して正しい表現を表示するため、自分で気づきにくい誤用も防げる。

 さらに、脚本や台本の作成に使いやすい縦書きが可能な「シナリオモード」も利用できる。特定の記号を入力することでシーンエリアやセリフエリアを作成でき、場面や登場人物ごとの文字閲覧、編集がしやすい。

 加えて、間違って保存してしまったり消してしまったりした場合にファイルを復旧できるゴミ箱と「オートバックアップ」機能が用意される。このほか、正規表現検索機能が搭載されており、文字量の多いファイルでも検索・編集がしやすくなるとしている。

 また、文字数カウントとバッテリー残量を常時表示できる。

US配列や新しい親指シフトも利用可

 キーボードのキーピッチは前モデル同様に横17mm、縦15.5mm。キートップの印字もデザインを一新し、アルファベットを中央に据えたかたちとなっている。設定の変更でUS配列用と親指シフト配列入力も可能で、それぞれに対応するキートップステッカーが用意される。

 もともとの配列の工夫で、一般的なUS配列に近い操作性を実現したという。親指シフトはこれまで「親指の置き場所がストレスになりやすかった」としてキーボードの右手側を一列ずらすことで、より入力しやすくなった。

 専用アプリ「pomera Link」でスマートフォンと連携。ポメラ本体内のデータをスマートフォンから確認し選択すると、アプリ内にデータを保存できる。反対に、アプリ内のファイルの送信もできる。アプリはこれまでiOSのみの対応だったが、今回Android 9以上にも対応した。

Type-C装備、カラーには限定のホワイトも

 本体の充電ポートにはUSB Type-Cを採用。バッテリー容量も増加しており、従来モデルでは18時間程度だった動作時間はおよそ24時間に長時間化した。さらに充電速度もこれまでの5時間から4時間に短縮されている。

 従来モデルでは、充電中の状態がわかりにくいという声があったとして、新モデルでは充電状況がわかるLEDランプが追加されている。

 カラーバリエーションはダークグレーとキングジム公式オンラインストア限定のホワイト(250台限定)の2色展開。最大32GBのSDカードに対応する。1ファイルあたりの最大文字数は20万字。

 本体の大きさは、約263×120×18mmで重さは約620g。ディスプレイサイズは7インチ(TFT、WSVGA)。Wi-Fiは、IEEE802.11b/g/n(2.4GHz)に対応し、Bluetoothバージョンは4.2となる。

 本体のほか、専用ケース「DMC7」が合わせて発売される。価格は7700円。アルミ製のハードケースでクッション材を内蔵。衝撃や傷からポメラ本体を保護できる。DM250のほか、前モデル「DM200」にも対応する。

14年を迎えたポメラ

 発表の場には、キングジム 執行役員 開発副本部長の立石幸士氏が登壇。初代ポメラの「DM10」の企画開発を担当していた同氏は、初代モデル開発当時の背景について語る。

左=キングジム 立石氏 右=同 清水氏

 当初、出張先で気軽に持ち運び、打ち合わせのメモや議事録などのテキストを手書きよりも手軽にできるツールを企画したのが始まりという。しかしキングジム社内では「文字入力しかできない」「機能に対して値段が高すぎるんじゃないか」と否定的な意見も出た。

 しかし、当時同社の社外取締役だったという大学教授から新幹線や飛行機の中で執筆に使いたいという声があり「いくらでもいいから欲しい」という要望があった。このことから「熱烈な層が一部にいるならチャンスがある」として商品化に至ったという。

 2008年の発売から14年のポメラ。立石氏はキングファイルやテプラにはまだ及ばないとしながらも「新しい文化を創造した商品にちょっとは成長できたのでは」とも語る。

 今回発表の新製品についても「文章を書くための機能だけをひたすら極めた自信作」とコメントし、今回の新型への熱意を示した。同社では、初年度8000台の売上目標を掲げている。