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国産OS・Webサービス望む声も、NTTの株主総会

 NTTは24日、第37回定時株主総会を開催した。

NTT 澤田氏

 2022年3月期の決算概況が説明されたのち、議長を務めたNTT 代表取締役会長の澤田純氏が同社の今後の方針などについて説明。リモートワークを主体とした働き方の導入やIOWNの実現に向けた取り組みが語られた。

 NTT 代表取締役副社長の島田明氏が、株主からの事前質問に答えるかたちで新しいドコモグループの成長強化について説明。

 NTTドコモグループは、1月にNTT コミュニケーションズとNTT コムウェアの2社の株式を取得しており、7月にはグループ間で事業移管などが行われ、組織再編に向けて着実に進捗しているとされた。

 今後、法人事業の拡大や金融決済、映像などスマートライフ事業の成長ともにネットワーク統合による通信事業の構造改革を進め、2023年度で1000億円、2025年度には2000億円のシナジー効果を発揮するよう取り組む。

国産SNSはできないの?

 株主からは、次世代の国産サービスに関する質疑が上がった。

 SNSなど外国勢がシェアを伸ばすことが、中長期的な事業の懸念材料になるのではと指摘。データの越境移転や経済安保などの議論が巻き起こる中、そうした状況を踏まえて、NTTは国産の検索エンジンやツイッター(Twitter)のようなサービスを独自にもしくは他社と連携して立ち上げられないのかと発言があった。

 これに対して、NTT副社長の渋谷氏は「日本のSNS、検索エンジンは『何をやっているんだ、もっと頑張れ』という応援していただいたと思っている」とした上で、同社が展開するビジネスチャットツール「elgana」(エルガナ)やコラボレーションツール「NeWork」(ニュワーク)の存在を紹介。

 さらに「長期的にはIOWNということで、デバイスレベルでも国産化しながら信頼を置ける方々と新しいデジタルデータ基盤を築いていくという大きな目標にも挑戦していこうと考えている」とコメントした。

日本にWindowsのようなものは作れないの?

 ICT技術で日本が世界に遅れを取っているという点について、マイクロソフトのようなOSはなぜできないのか、今後も日本ではできないのかという質問もあった。

 執行役員の坂村健氏は、同氏が1980年代から国産コンピューターを作る仕事に携わってきたことを紹介した上で「チャレンジをしても国際情勢などで上手くいかないことがあった。しかし、コンピューターは日々進歩している」と語り、チャンスは何度でもあると強調。

 IOWN構想を推し進める中で「インフラが変わるときこそチャンス。これからもNTTはグループを挙げて、新しい技術にチャレンジして世界に貢献できる新しいOSや情報のプラットフォームをつくることに力をかけていきたいと(社員)みんなが思っている。チャンスは何回でもあるということで、挑戦し続けるNTTになるよう努力したい」とした。

リモートワークに注目

 NTTグループが複数社で導入を決めた、リモートワーク主体の働き方に対する懸念を示す声も聞かれた。

 勤務地が原則的に自宅になるという方針について「熟慮に熟慮を重ねた決定に異を唱えるつもりはない」としつつ、NTTの一体感の醸成や若手社員にとってはベテランからの指導を受けたり、社内のコミュニケーションを取ったりという部分で出社の必要性を訴え今後、問題があったら仕組みを見直すよう求めた。

 NTT執行役員の北村亮太氏は「リモートワークだけをするわけではない」と説明。リモートワークを主体として、出社したほうがいい場合は出社して仕事をするとあらためて、仕組みや意義について語った。

澤田氏があいさつ

 2018年の就任から4年間、社長を務めた澤田氏は「この間、新型コロナウイルスや携帯電話料金値下げ、総務省幹部との会食問題、ロシアによるウクライナ侵攻などさまざまな環境変化があった。リモートワークを基本とした新しいスタイルやドコモとNTT Com/コムウェアの統合、ESG経営の推進などグループの変革の方向を策定し、固まってきた」とコメント。

 NTTグループサステナビリティ憲章やIOWN構想なども含めて同社を牽引してきた澤田氏は「今後も責任を協同する」という意味で代表権を継続しつつ、ドコモ統合やグローバルでの再編、IOWN推進の支援をしていくとした。

 新社長には、現副社長の島田明氏が就任する予定。