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NTT(持株)が新たな経営スタイル/環境対策を発表、デジタル庁の接待問題についても言及

説明会の様子。左から執行役員 総務部門長の北村 亮太氏、常務執行役員 研究企画部門長の川添 雄彦氏、代表取締役社長 社長執行役員の澤田 純氏、執行役員 経営企画部門長の谷山 賢氏

 NTT(持株)は、「新たな経営スタイル」と「企業価値の向上」に向けた取り組みについて発表した。会見には、代表取締役社長の澤田 純氏が登壇し、説明した。

新たな経営スタイル

代表取締役社長 社長執行役員の澤田 純氏

 澤田氏は、「新たな経営スタイル」として、ウィズコロナやアフターコロナにむけて、分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイルを推進すると発表した。

 制度の見直しや環境整備をすすめることでリモートワークを推進し、「ワークインライフ」の推進や「オープングローバル」で革新的な業務運営を実現するという。

 具体的には、誰もがいつでもあらゆる場所で働ける環境を2023年度までに整備することや、2025年度までに100以上の業務プロセスの自動化を実現する。

 ユーザーに対しても、顧客のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、中堅中小企業へのデジタルマーケティングを拡大し、2025年度にオンライン営業経由の利益1400億円を目指すという。

 このほか、NTTグループ全体での「『紙』利用の原則禁止化」や「DX化推進のためのオフィス環境の見直しや人材の育成」、「女性/外国人人材の活躍推進」を挙げた。

 また、「ジョブ型人事制度」の導入が発表され、入社年次による配置からの脱却を目指すという。管理職にも10月1日からジョブ型人事制度を拡大する。

 働き方改革については、サテライトオフィスなどの整備を拡大させ、本社部門などを地域に分散化などで職住近接化を図る。これにより、単身赴任や転勤をできるだけさせないことを目指すという。

 自身も2度転勤の経験があるという澤田氏は、単身赴任や転勤は「できるだけないほうが良いのではないか」とコメントしている。

 澤田氏は、これらの経営スタイルの変革により、2023年度で2000億円以上のコスト削減を目指し、総額1兆円以上のコスト削減を行いたいと考えを示した。

新環境エネルギービジョン

 「企業価値の向上」に向けた取り組みとして、事業活動における環境負荷の削減を図る。

 この取り組みにおいて「新環境エネルギービジョン」を掲げ、NTTグループ全体で、温室効果ガス排出量を2013年比で8割削減を目指し、2040年にNTTグループ全体でカーボン・ニュートラルを実現し、CO2排出量を実質ゼロとすることを目指す。

 なお、澤田氏によるとこのまま何もせずに成り行きに任せると、データトラフィックの増加に伴い、使用電力の増加が見込まれる。この電力量増加に伴って、温室効果ガスの排出量は、2040年に「2013年の約1.8倍」に増えると想定されているという。

 環境負荷軽減への具体的な取り組みとして澤田氏は「継続的な省エネの取り組み」や「再生可能エネルギーの調達」を挙げた。また、社会全体の温室効果ガス削減に向けて「IOWN技術の普及拡大」や「NTTドコモの『ドコモでんき』などの取り組み」、「グリーンICTの取り組み」などを実施する。

 澤田氏は、今回発表の取り組みに関わるコスト増について、2023年度時点の影響は軽微としつつ、2030年度には再生可能エネルギー開発を増加させるとし約100億円のコスト増を想定しているという。

デジタル庁の接待問題

 会見の質疑では、「デジタル大臣の平井 卓也氏がNTTとの会食に関する事実関係を認めた」事案について澤田氏の見解を問われた。

 澤田氏は、同事案について「デジタル化やDXについての意見を聞きたいというふうにお話いただいたため、非常にいい機会だと思い会食をしてしまった」とコメント。NTTとして利害関係はなかったものの、結果として会食した官僚が処分されたことについては「大変申し訳ないと思う」と考えを述べた。

 NTTとしては、これまでなかった会食のルールの制定を行い、総務省に限らずほかの省庁の官僚との会食をすべて実施しないという厳しいルールを制定し、澤田氏を含め遵守していくとしている。