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KDDI総研と名工大、テラヘルツ帯マルチビームアンテナの開発に成功
2022年5月24日 13:11
KDDI総合研究所と名古屋工業大学は、テラヘルツ帯で電波の放射方向を変更できるマルチビームアンテナの開発に成功した。Beyond 5G/6G時代において、超高速・大容量通信の実現への貢献が期待される。
今回開発された技術は、5月25日~27日に東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2022」において、KDDI総合研究所のブースで紹介される予定。
今回開発されたのは、アンテナ性能を示す指標「利得」が高い、高利得なマルチビームレンズアンテナと、小型な平面型マルチビームアンテナの2種類。
両アンテナとも、テラヘルツ帯(300GHz帯)において、60度の角度(アンテナ正面を0度とし、プラスマイナス30度)でビーム方向を変更できる。
高利得なマルチビームレンズアンテナ
高利得なマルチビームレンズアンテナは、レンズと1次放射器(ホーンアンテナ)で構成され、接続するホーンアンテナを切り替えることでビーム方向を変えられる。
レンズには、テラヘルツ帯で誘電損失の小さい素材が選定された。また、レンズ形状とホーンアンテナの配置の最適化により、ピーク利得が27dBiになった。これは、全方向に同じ電波強度で放射する等方性アンテナと比較して約500倍の数字だという。
また、60度の範囲で利得が22dBi以上となり、これは等方性アンテナと比較して約160倍となっている。
小型な平面型マルチビームアンテナ
小型平面マルチビームアンテナは、マイクロストリップコムラインアンテナとビーム形成回路で構成され、ビーム形成回路の接続ポートを切り替えてビーム方向を変更する。
アンテナとビーム形成回路を層状に重ねた構造により、大きさが25×17×2mmとなり、小型化を実現した。