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ソフトバンク、「テラヘルツ波」でエリア構築の実証――見通し外でも通信に成功

 ソフトバンクは、高速な通信を可能にする「テラヘルツ波」を用いて屋外での通信エリア構築の検証に成功したと発表した。

見通し外でのテラヘルツ波到来方向(イメージ)。電波が強いほど赤い

 テラヘルツ波とは、100GHz~10THzまでの周波数の電波を示す。5Gで利用される「ミリ波」よりも広い伝送帯域を持ち、100Gbps超の高速通信が可能とされる。Beyond 5Gや6G時代には、XRデバイスの普及などにより5G以上の高性能な回線が必要とされ、テラヘルツ波への期待が高まっている。

 ソフトバンクは、240.5GHz帯と300GHz帯の電波を用いて、東京都港区台場で実証を行った。同社によれば、見通し環境下において最大900m超の距離で電波伝搬の測定および通信エリア構築を確認できたという。

 加えて送信側が受信側を見通せない見通し外環境でも、受信に成功した。同社が独自開発した360度送受信が可能な「回転反射鏡アンテナ」を活用しており、テラヘルツ波を限られた場所だけでなく、これまでの移動通信同様に一般的な環境で利用できる可能性が示されたとしている。

テラヘルツ波の伝搬のフィールドマップ。(赤い部分は電波が弱い)
実証の様子

 テラヘルツ波は、これまでにない高速通信が期待される一方、遠距離まで到達しにくく、雨が降っても届きにくくなるなど屋外での利用が難しい。ソフトバンクでは、テラヘルツ波を移動通信として利用するべく研究を進めており、今後もさまざまな環境で測定を行い、テラヘルツ波の伝搬特性を研究していくとしている。

回転反射鏡アンテナ