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バルミューダ寺尾社長、決算会見でスマホ事業参入の狙いを語る

 バルミューダは13日、スマートフォン事業への参入を発表した。同日開催された決算説明会において、寺尾玄社長がその背景を語った。

 現在の携帯電話市場について、寺尾社長は「選択肢が少なすぎる」とコメント。

寺尾氏

 多くの人が使うアイテムで、これからも携帯電話市場自体がなくなることはない、との見立ての上で、撤退するメーカーもあるなかで、少なすぎる選択肢がバルミューダにとってひとつのチャンスになる、と語る。

 一発だけでの端末を作るつもりはない、とした寺尾氏は「最初に作った商品は、アップルのノートパソコン用の冷却台でした。さまざまな困難苦難はあったが、照明、扇風機、トースター、クリーナーなどを作った。最初は電気を使っていなかったが、その後、モーター、ヒーター、マイコンと活用してきた。18~19世紀の技術から始まり、駆け足で200年分のテクノロジーを体験し、かつ、習得してきた流れでもある、と解釈している」と、これまでの同社の流れを振り返る。

 その上で、「冷却台の上の製品を作りたかった。でも到底できなかった。それがようやくできるようになった。つまり、バルミューダのこれまでの流れは商品の高密度化、集積度の高い製品を手掛けてきた。その流れは変わらず、現代でそうした製品はスマートフォン。私達ならではのポジションを作る。シェア1位は他社に任せるが個性での1位を目指す」と意気込む。

どんなスマホになる?

 寺尾社長は、説明中の自らの後ろにモックアップがあるものの、まだ詳細は言えない、とした上で「キッチン家電のバルミューダが間違ってデザインケータイを出しました、ということにはなりませんし、させません」と断言。

 その上で「細かくは述べられないが、デザインや外観は重要な要素のひとつだが、同時に、スマートフォンで我々が享受する良きことの多くは画面のなか、アプリを通じてもたらされる。独自のアプリをいくつか準備して『使い心地がいいな』『気分がいいな』というまさに体験価値を提供できるような商品を開発している」と語る。

普段使いのアプリ

 数多くあるアプリのなかでも、普段使いのアプリと言えるものは限られる、と指摘した寺尾社長は「普段使いのアプリこそ、より便利になっていいのではないか。普段使いのアプリは、iPhone発明時から変わっていない。そこにチャンスがあるのではないか。何らかのアイデアが実装され、普段使いのアプリよりもずっと気持ちよくなるのであれば、私たちが考えているより良い体験をスマートフォンで……ということに繋がっていく」と、ソフトウェア面にも注力することを示唆した。

価格帯について

 価格帯については、「お客さまに価格で訴求する商品ではない。何らかの良さで訴求する商品を今作っています」と述べた。

 商品名については差し控えるとした。

ソフトバンク、京セラとのパートナーシップ

 ソフトバンクとの協力はビジネス条件が合致したことが大きいとした寺尾社長は「話せば話すほど、チャレンジングな精神を持っている会社さんなんですね。非常に我々と親和性が高いと思い、独占契約で参入することを決めた」と説明。

 京セラに期待している点として、製品の堅牢性の高さとコメント。「積み上げられた堅牢な品質」が京セラに製造を委託することになった一番大きな理由であり、京セラ側にもバルミューダの理念を理解してもらったことが大きい、とした。

家電との連携について

 家電との連携については、「あまり組み込む予定はない。スマホから操作するだけでは意味がない。意味あるものにするには家電を変える必要がある」と指摘する。

 外からトースターを焼けるようになっても、トースターに誰がパンを入れる? とした寺尾氏は、「これまでになかった家電との連携が生み出されればいい」とした。

SIMフリー、海外展開について

 ソフトバンク版に加えて、SIMフリー版を提供する背景については「いろいろパートナーさんと話すなかで出てきたアイデアのひとつ。直販の店舗、オンラインストアで提供するものも欲しいだろう、ということになり、さまざまな調整の後、一緒に開発することになった」という。

 家電では海外でも展開しているバルミューダだが、スマートフォンについては「なるべく早く海外でも売れるようにしたいが、決定している事項はない」とした。