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au新プラン「20GB/2480円」になった理由

 KDDIは13日、新料金プラン発表会を実施した。

 発表の場には、KDDI代表取締役社長の高橋誠氏が登壇、新プランを発表した。「みんなってエブリワン」というメッセージをかかげるKDDI。

KDDI 高橋誠氏(高は新字)

 高橋氏は「Everyoneは『みんな』ということだが、ひとりひとり、それぞれという意味もある」としてこれからの時代に「みんなの5G」を実現するためには、それぞれに合ったサービスが必要。すべてのユーザーの生活スタイルにあったプランをシンプルに選べる自由を届けたい」と語る。

 発表された新料金は、オンライン専用の「povo on au」(povo、ポヴォ)、auブランドの「使い放題MAX 5G/4G」とUQ mobileのプラン。

オンライン専用の「povo on au」

 povoは、オンライン専用の新料金プラン。2021年3月から提供がスタートする。シンガポールのCircles Lifeとの協業で実現したもので、料金は20GBで月額2480円。同様の容量帯では主要3社の中で最安となる。

 高橋氏によると「pov」は「point of view(新たな視点)」、ovoは「ab ovo(誕生と成長、ラテン語)」からの造語。

 特長的なのは「トッピング」という仕組みで、さまざまなオプションをアプリ上の簡単な操作でオン/オフできる仕組みが用意されているところ。提供されるトッピングの第1弾は、月額500円で5分以内の通話かけ放題と200円の課金で24時間データ使い放題(テザリング含む)の2種類。

 高橋氏はトッピングについて「アイスクリームにチョコを、ピザにチーズを、カレーにとんかつを、と気軽に追加でき、いらなくなれば簡単に外せる、これがトッピング」と説明。

 トッピングは音声やデータのみならず、サービスでも検討されており、パートナー企業と協議しながら生み出していく予定という。

 現段階では、povoで端末セットなどの販売は予定されておらず、auブランドの取り扱い端末やSIMフリー端末を持ち込む形になるが、ユーザーの要望次第では端末取り扱いの可能性もあるとした。

 また、NTTドコモのahamo同様にキャリアメールは提供されない。海外ローミングについては現在検討中という。

コスト削減で低料金を実現

 高橋氏によれば、20代以下のユーザーの6割は月間の通話時間が10分未満であるという。

 若い世代はアプリを通じた通話を多用することもあり、音声通話の重要度は低い。したがって、音声オプションを廃し、そのコスト削減の結果として2480円という料金を実現したという。これが「20GB/2480円」になった理由だ。

auから使い放題MAX 5G/4G

 大容量プランを主軸に据えるauブランドからは「使い放題MAX 5G/4G」が登場する。開始時期は3月から。

 従来のように4Gと5Gが分離しておらず、1つのプランにまとめられた。基本利用料は6580円。従来の「データMAX 4G/5G」と比較するとそれぞれ1070円、2070円値下げされており(各種割引適用前)、月間データ利用量が3GB以下の場合、自動的に1500円が値引きされる。

 家族3人で使用し、auスマートバリュー、家族割プラス、au PAYカードお支払い割による割引で4480円で利用できる。

 高橋氏は「割引前の料金を下げることでより多くのユーザーへ5G使い放題を利用してもらいたい」とした。2020年発表のAmazonバンドルプランも好調というものの今後、よりシンプルに見直していく方向という。

UQはプラン見直し、2月から提供

 UQ mobileは、すべてのプランにおいて料金を見直された。提供開始時期は2月から。

 最安のスマホプランSは、「くりこしプランS」として容量据え置きで500円引きの月額1480円。スマホプランRは「くりこしプランM」として15GBに増量した上で2480円になり、2020年に発表され2月から提供予定だったスマホプランVは「くりこしプランL」とあらため25GBで3480円となる。

 UQ mobileでは、家族割などを用意せず単身者でも安く使えるかつ、あまったデータ容量を翌月に繰り越せるというシンプルかつ無駄がないことを全プラン共通のメリットとして打ち出していく。

 また、UQ mobileでもpovoと同じく今夏の5G対応が予定されている。当初のKDDIのマルチブランド戦略では5Gをauが、4GをUQ mobileがそれぞれ担っていく形だったが、市場環境の変化や同社社内でも5Gを広めるにはauブランド以外でも展開したほうがいいという声があり、今回の形になったという。

ブランド間乗り換えの手数料は0円

 これらのブランド間の乗り換えに手数料はかからない。「auやUQ mobileユーザーも含めてすべてのユーザーが自分にあった料金を選択できるようにする」と高橋氏。

 また、KDDIでは1月12日に他社へ乗り換える際の手数料の廃止も発表されている。

質疑応答では

 povoの特長でもある「トッピング」。今後、auブランドなどでの展開を問われた高橋氏は「実はわたしも気に入っている。コンテンツ事業者の方からもぜひトッピングに入れてほしいというメールも来ている。アイディアがどんどん出てくると思っていて、今後これが当たり前になるとしたら、他ブランドでの展開もありえる」と回答した。

 Circles LifeとMVNOでオンライン専用ブランドを立ち上げると発表したのは2020年10月だった。今回のpovoはCircles Lifeとの協業の結果だが、MVNOではなく料金プランになったことはその方針が変わったためという。社会の動きとして、NTTドコモがahamoをメインブランドからプランのひとつとして発表するなど、最終的にauの中でpovoをやったほうがいいという結論に達したと高橋氏は語った。

 また、今回の値下げは政府からの圧力があってのものではないか。今後、同様のことが再度求められたとしたらどう対応していくのかという問いに対しては、いろいろとお話があったのは報道の通りとしつつ、新プランでの意気込みについて「ahamoに対抗しようとKDDI社内で盛り上がった。NTTへの対抗がKDDIの歴史。単純に料金を下げるだけではなく2480円という最安値にしつつ、いろいろなアイディアを取り入れられる「トッピング」を導入できたのはワクワクしている。UQも一歩踏み込み5G時代でしっかり戦う体制を作り上げられたと思う」とコメント。

 加えて「競争環境でサービスや料金が改善されていくのは良いこと、しっかりと競争していきたい」と熱意を表した。

 UQ mobileでは、3GBで1480円とMVNOレベルかそれ以上の低廉な料金を実現した。しかし、その一方で結果的にそれがMVNOへの接続料の議論につながるのでは、という指摘について高橋氏は「このあたりはまたこれからの議論になると思う。UQ mobileはどこまで踏み込むか考えたが、競争が激しくなっておりグループの勢いを高めることが最優先とした」とした上でMVNO事業者とは今後しっかり協議していくとした。