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5G端末でも割引2万円は見直さず、MNP手数料はWeb無料/店頭1000円以下――携帯業界の「競争ルール検証」2020年版、総務省が報告書

 総務省は、「競争ルールの検証に関する報告書 2020」を発表した。1年前に改正された電気通信事業法を踏まえ、4月から進めてきた検証をまとめたもの。

2019年の改正事業法に

 電気通信事業法の2019年10月改正版では、携帯電話端末への割引が上限2万円と定められたほか、中途解約時の違約金の上限が1000円までとなった。また販売代理店に関するルールも強化された。

 報告書では、法律に違反した事例を踏まえ、今後もルールを守るための体制強化が必要と指摘。また、関係者の理解を進めるため、運用ガイドラインを随時見直すことも必要と指摘する。

 また5G端末であっても、2万円を上限とする割引額の制限は、現時点において見直す状況にない、とした。

大手キャリアのサブブランドに警戒

 菅義偉総理大臣から値下げ論が強く打ち出される中で、現状の料金について報告書では「低・中容量」ではサブブランド、MVNOによる活発な競争があると説明。

 今後については、サブブランドがユーザーに選択肢を提供するものとしつつも、「新たな囲い込みの手段として利用される」「特に独立系MVNOとの公正な競争環境の阻害要因となる可能性がある」として、ブランド別のデータを取得する必要があるとした。

 大容量プランについては、5G時代を受けて、今後、さらにニーズが高まると予想。競争しているか、阻害する要因がないか、引き続き検証が必要とした。

端末販売

 スマートフォンなど端末の販売について「大手キャリア3社の販売数は、改正法施行前後で大きな変化なし」と報告書では説明。

 今後は、新型コロナウイルス感染症の影響が顕著に出ると予測したほか、今後は機種別の売上台数などを把握して分析することが望ましいとした。

MNP手数料

 報告書では、ニューノーマルを見据えて、Webサイト上での手続きの改善も指摘する。

 その上で、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)の手数料はWebで進める場合、無料にし、店頭や電話窓口は1000円以下とすべきとした。

頭金・料金の表示

 携帯電話販売店で見受けられる「頭金」がユーザーの誤解を招いている、として、報告書は「広告表示の見直しが必要」と説明。

 また料金プランも、キャンペーン、セット割などのがわかりづらいとしたものの、「実態を把握した上で、引き続き状況を確認」に留まった。

SIMロック、eSIM

 SIM関連では、SIMの種類が複数存在する場合や、オンラインでのSIMロック解除の手続きの面倒さなどが課題とした。

 eSIMについては、遠隔で通信ネットワークへ繋がるための設定情報を書き込む「RSP(リモートSIMプロビジョニング)」機能の解放が今後の課題とされ、障壁となる課題があれば解決に向けてスピーディな検討が必要とした。

 また、Apple WatchのeSIM機能について、具体的な課題を今後、確認する方針。