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思い出の写真やメールにまた逢える――古い携帯電話を蘇らせるKDDIの取り組み「おもいでケータイ再起動」
2019年7月5日 20:43
KDDIは、au SHINJUKUで起動しなくなった古い携帯電話を再起動させる「おもいでケータイ再起動」を開催している。期間は7月5日~7月8日。au以外の携帯電話でも対応する。予約制で料金は無料。
「おもいでケータイ再起動」は、起動しなくなってしまった古い携帯電話を再起動させる取り組み。再起動した携帯電話に入っていたメールや写真、ビデオなどを復元して印刷、あるいはスマートフォンなどにデータを移動してもらえる。
ユーザーに期待を超えた体験価値を
このイベントが始まった背景には、「ユーザーが諦めてしまっていることを解決し、期待を超える価値を提供したいという思いがある」と、KDDI 宣伝部 ブランドプロモーショングループリーダー 西原由哲氏は語る。
西原氏
「2015年ごろに、『auケータイ図鑑』というコンテンツを立ち上げました。ショルダーフォンからスマートフォンまで700機種以上を掲載しているのですが、撮影のために昔の携帯電話を再起動させると、昔の写真やメールが出てきてすごくワクワクしました。この経験はユーザーにとっても一緒じゃないかと考えたんです。これをリアルなイベントにできないかと考えたのが始まりでした」
このように「おもいでケータイ再起動」は、当初は全く違うプロジェクトから派生した。しかし、充電器を集めて用意し、古い携帯電話に接続してみたところ、トラブルが発生した。
充電器では充電できない
長期間充電されなかったバッテリーは、充電用の回路を起動する電力をも失ってしまうため、充電器を接続しても充電できなくなってしまう。社内でも、イベント化には待ったがかかってしまった。
しかしある時、「バッテリーテスター」を使用してはどうかという声が上がった。「バッテリーテスター」は本来、バッテリーが故障していないかを判定するために用いる機器だが、バッテリーを充電する機能を備えている。通常の充電器とは違う、特殊な方法で充電するため完全に放電してしまったバッテリーでも、安全に充電できるという。
バッテリーテスターを用いて開始してみたところ、無事に携帯電話は起動。社内に数台しかない「バッテリーテスター」を用いて全国を回ったという。それからトライアル実施を経て、2017年8月に「おもいでケータイ」は正式なスタートを切った。
思い出に浸る声や、感動の再開も
実際に「おもいでケータイ」の会場を訪れてみると、参加者からは喜びの声が上がっている。
埼玉県在住の女性は、幼い頃の子供の写真に再会した。デザインが気に入って購入した携帯電話のカメラ性能が良く、当時子供が生まれたばかりということもあり、よく写真を撮っていたのだという。「何気ない日常の一コマが、当時の思い出とともに蘇ってきました。すごく懐かしい気分になりました」と語る。
東京都在住という母娘の参加者は家族の思い出の動画に巡り会えたという。「次女の幼かったころの動画をもう一度見たかったんです。家族の中ではいつも話題に上がる動画だったのでよかった」と語る。思いがけず昔の写真もたくさん発見され、「これから家に帰って見るのが楽しみです」と母娘で笑顔を見せていた。
一方、東京都在住の女性からはこんな声が聞かれた。「再起動した携帯電話の中に、亡くなった息子の写真が入っていました。写真はきっと10年くらい前のものでしょうか。息子は突然亡くなったので、今日は来て本当に良かった。久しぶりに息子に会えた気がします。本当にうれしい」と涙を浮かべつつも、喜びを湛えていた。
今後は改めて47都道府県すべてでの開催、出張開催も
これまで25都道府県で開催してきた「おもいでケータイ再起動」。新たな取り組みとして、改めてこれまで開催した土地でももう一度開催し、全47都道府県制覇を目指すと西原氏。
西原氏
「これまでは、事前に『おもいでケータイ再起動』を知っている方が少なかった。終わった後に知ったという方がたくさんいたんです。最近では、徐々に認知度が向上してきました。開催実績のある場所でもうやらないというのでは、体験できないお客様が大勢いらっしゃるはず。なので実績ある場所も含め、あらためて47都道府県すべてで開催します」
さらに、イベントに参加できないという人のために出張で「おもいでケータイ再起動」を開催するという。10名以上のグループが対象で、KDDIが選定したグループのもとへ向かうという。
西原氏は「お客様が諦めてしまった部分を、我々がサポートし、『期待を超える体験価値』をお客様へ届けたい。『おもいでケータイ再起動』はそのひとつ。お客様の目線に寄り添い、未来を楽しんでいただけるような体験価値を提案し続けたい」と今後の展望を熱く語った。