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実は子どもも歓迎? Androidスマホを安全に管理する「ファミリーリンク」ユーザーの声

 グーグルは、子どもがAndroidスマートフォンを安全に利用できるようにするための管理機能「ファミリーリンク」を2018年4月から日本向けに提供している。

 提供開始からおよそ1年、ファミリーリンクの機能を改めて紹介する記者向けの説明会が22日に開催された。説明会には、実際に親子でファミリーリンクを使っているモニターユーザーもテレビ電話で出演し、ユーザーの生の声が伝えられた。

「ファミリーリンク」でできること

 ファミリーリンクは、子どもに持たせるAndroidスマートフォンをより安全に使えるよう、アプリのインストール制限や利用時間の管理、位置情報の管理などができる機能。アプリの形で提供されており無料で利用でき、保護者用のアプリはiOS版も用意されている。

 ファミリーリンクの機能は、大きく分けると「コンテンツ・アプリの管理」「利用時間の管理」「子どもの位置情報の管理」の3つ。

 コンテンツ、アプリの管理機能としては、Playストアから新たにアプリをダウンロードする際、保護者が承認するまではダウンロードできない仕様となっている。また、ファミリーリンクを設定するとWebブラウザ「Chrome」のフィルタリング機能も有効になる。

 既にインストールされているアプリについても、タイマーまたは手動で制限をかけることができる。制限中のアプリはアンインストールではなく無効化された状態となっており、有効化すれば再び元のように利用できる。

 ファミリーリンクアプリの削除や紐付けられたGoogleアカウントからのログアウトも保護者の許可なしにはできないようになっており、子どもが勝手に制限を外してしまう可能性は低い。いわば、企業などで使われるMDM(モバイルデバイス管理)の機能を親子で利用できる形に落とし込んだような管理機能となっている。

 利用時間の管理機能としては、保護者の端末から子どもの利用時間やよく使っているアプリが確認でき、必要に応じてスマートフォンを使用できないように制限をかけられる。夜間などあらかじめ設定した時間帯にロックする、あるいは1日の使用時間を決めて上限に達したらロックするといった使い方ができる。

 位置情報の管理機能としては、子どもの端末が今ある場所をファミリーリンクアプリ内で地図上に表示できる。たとえば塾や習い事に通っている子どもなど、電話やメッセージのやり取りをその都度しなくても居場所を確認できる。

 グーグル APAC Android Partner Enablement Managerの五木田菜津紀氏は、ファミリーリンクは単に管理・監視する機能ではなく、親子のコミュニケーションを促す効果もあると語る。

 たとえば、アプリをダウンロードする際の可否は自動的なフィルタリングのようなものではなく保護者が判断する仕組みのため、特に流行している動画共有サービスやSNSの危険性を一緒に考える時間になったり、あるいは子どもたちの間で流行っていることを知るきっかけになったりというケースもある。

 同社は、インターネットを安全に利用するために役立つ情報をまとめた「セーフティ センター」というWebサイトを公開している。その一部として、子どものスマートフォンやインターネットの利用にあたって家庭内でのルールを設ける参考となるファミリー向けコンテンツも用意されており、ファミリーリンク利用時の参考にして欲しいという。

開始1年での変化と想定外の活用法

 提供開始から1年間での最大の変更点は、当初は12歳以下の児童を対象としたサービスだったが中高生にも対応、13~18歳用のアプリを追加したこと。ユーザーの要望を受けて追加されたもので、12歳以下向けのサービスとは一部機能が異なる。

 13歳以上で制限が変わるのは主に「YouTube」関連の機能。12歳以下でファミリーリンクを設定している場合は、子どもでも安心して視聴できる動画のみに絞り込んだ「YouTube Kids」アプリを利用する形となるが、13歳以上なら通常のYouTubeアプリでの視聴が可能になる。

 保護者と12歳以下の子どもは共通のアプリを利用するが、12~18歳用は別アプリとなっている。13歳の誕生日が近付くと保護者と子どもの両方にグーグルからの案内メールが届き、ファミリーリンクの機能をそのまま維持するか、13歳以上向けのファミリーリンクに切り替えるか、あるいは設定を解除するかを選択できる。

 また、開発段階では想定されていなかった使い方として、高齢の両親の安否を確認するために、ファミリーリンクを使っているユーザーもいるという。

 高齢者の安否確認サービスは近年、家電やIoTセンサーを利用したものが各種発表されているが、身近なスマートフォンを使って手軽に無料でできる点に注目されたのではないかと五木田氏は分析。正式な使い方ではないが、位置情報で外出を確認したり、アプリ履歴からスマートフォンを使っていることを確認したりといった方法で見守り機能として活用されている。

子どもは意外にも歓迎、ファミリーリンクユーザーの声

 11歳の娘とファミリーリンクを使っているというユーザーは、従来のフィルタリング機能では使い勝手に少し不満があり、無制限に使わせるのは不安だがもう少し自由に使わせてあげたいと感じていたという。

 使用時間をその日の予定に合わせて制限したり、LINEなどのアプリを使いすぎていないか確認したりとファミリーリンクの各機能を活用しており、(保護者としては)使いやすいという一方、子ども本人の反応については少し意外そうに語った。

 最初は「本人は制限をうっとうしがるかな」と思いながらファミリーリンクを試してみたが、使ってみると子ども本人からも「安心して使えるし、使いすぎず計画的に使えて良い」とポジティブな反応が帰ってきたという。

 具体的には、スマートフォンを持っていない友達と遊んでいるときに「このアプリを入れて」「後で消せばお母さんにバレないよ」と頼まれることがあったというが、ファミリーリンクでは保護者が許可したアプリ以外はインストールできないので、断りづらかったりよく分からないまま使ってしまうといった不安を本人も感じずに済んだ。

 YouTubeについても同様にYouTube Kidsのみの利用となるので、目の届かないところで自由に視聴、あるいは投稿してしまうリスクがないことは安心できる反面、例えば「学校で流行っているYouTuberの動画が見られない」といったケースもある。このような場合については、親のスマートフォンやパソコンなどで、目の届く場所で一緒に見るといった形で対処しているという。