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メルカリのスマホ決済「メルペイ」、Android版やコード決済の提供時期を明らかに
2019年2月20日 13:42
メルカリの子会社であるメルペイは、関係者向けのカンファレンス「MERPAY CONFERENCE 2019」を開催し、決済サービス「メルペイ」のAndroidへの対応など、今後のサービス展開について明らかした。
近日中にAndroidが対応、コード決済は3月中旬に提供
メルペイは、2月13日からiOS向けに先行してサービスを開始している。非接触決済サービスの「iD」に対応する形で提供開始された。
2月末~3月初旬を目途に、Android版のメルペイが登場する。大手キャリア、MVNOなどすべてのAndroidユーザーが利用でき、メルカリのアプリから設定することが可能。メルペイ 代表取締役の青柳直樹氏によると簡単な操作で設定ができるという。
3月中旬には、新たにコード決済にも対応予定。サービス開始当初は、ユーザーが表示したアプリ内のバーコードを店舗で読み取る形で決済サービスが提供されるが、ユーザーが店舗のバーコードを読み取る形の決済にも対応する予定。
iDとコード決済の2つの方式に対応することで、全国135万カ所で決済可能となる。今後の加盟店開拓により年内に200万カ所利用できるようにするという。
メルペイは、メルカリの売上金か銀行口座からのチャージを支払いに充てることが可能。対応する銀行は現時点で31行だが、今後は全国60行以上に対応する銀行を増やしていく。
三井住友カード、セブン-イレブン、KDDI、JCBをパートナーに、サービス拡大へ
カンファレンスでは、サービス拡大にあたってのパートナー企業が発表された。非接触決済を提供するにあたり、事業提携した三井住友カードの代表取締役社長 兼 最高執行役員 大西幸彦氏、メルカリの配送サービスなどで提携しているセブン-イレブン・ジャパンの取締執行役員 石橋誠一郎氏、コード決済で提携するジェーシービー の代表取締役 兼 専務執行役員 営業本部長 前田康祐氏が登壇した。
セブン-イレブンジャパンの石橋氏は、今夏以降に提供する予定のセブンペイのインフラとメルペイのプラットフォームを含めた協業は発展していくと説明した。
コード決済で提携するジェーシービーとは、コード規格を統一し、ジェーシービーが推進するコード決済基盤「Smart Code(スマートコード)」の加盟店にメルペイが対応する。また、KDDIとの提携も発表され、「au PAY」とメルペイの加盟店開拓をしていくという。
地方自治体とキャッシュレスに向けた連携
サービスを普及するため、地方自治体との連携も行われる。神奈川県、鎌倉市、岐阜市、神戸市、仙台市、千葉市、福岡市、箕面市の8つの自治体と連携について合意したと発表された。連携内容の詳細は今後、発表される予定。
オンライン決済にも対応予定、今後の展開は
今後は店頭の決済だけでなく、ECなどのオンライン決済にも対応する予定。将来的にはオンライン上で購入した商品の決済情報をもとに、簡単にメルカリに出品できるような仕組みを実現する。
また、メルカリとメルペイが持つユーザーデータや決済情報などを加盟店と連携することで、加盟店が商品開発やマーケティングにデータを活用できるようにする。
ほかにも、現在、メルカリで提供されている購入金額の後払い制度「メルカリ月イチ払い」をメルカリの取引実績をもとにし、実店舗でも後払いが可能になる「メルペイあと払い」を2019年春に提供する。
メルカリとの連携を生かしたメルペイの強み
青柳氏は、「フリマアプリのメルカリではモノの流れをなめらかにしてきた。モノとは不可分であるお金の流れをなめらかにするためにメルペイを開始した」と説明。現在は、キャッシュレスが進んでいる中でも、まだモバイル決済が使える店が少ないと指摘した。
その上で、メルペイが使ってもらうキャッシュレスサービスになりうる理由として、青柳氏はメルカリの顧客基盤を理由に挙げた。メルカリのユーザーは1200万人を超えており、多くのユーザーが、メルペイとしてすぐに使えるメルカリの売上金を保有している。また、決済にあたって別のアプリのインストールや別に会員登録が必要ない点も挙げた。メルペイの執行役員VP of BusinessDevelopment and Salesの山本真人氏は、メルカリの売上金は、ユーザーにとって「臨時収入」になるため、より大胆に使用されやすいと説明した。
また、メルカリが持つユーザーデータや売上金などの情報をもとに決済利用のニーズを分析することで、効率的に加盟店拡大が実現できるという。山本氏は「単純な加盟店数拡大ではなく、使ってもらえるところに決済サービスを拡大する」と語った。
独自で切り開くのではなく、パートナー企業とともにキャッシュレスを推進
青柳氏は、現在はキャッシュレスサービスが乱立し、ユーザー、加盟店の双方で負担になっていると指摘し、(このままでは)ポイントのばらまきだけで終わってしまうのではと語った。独自に加盟店開拓をしていくのではなく、パートナー企業とともにキャッシュレスサービスを推進していく必要があると説明。
メルペイはオープンなパートナシップ「OPENNESS」を掲げ、決済サービスの事業者が相互に連携するインフラを作り上げていくという。
また、キャッシュレス推進協議会が年度末まで策定する、QRコード決済のガイドラインにメルペイは準拠すると発表された。
提供が遅れた理由、還元キャンペーンは行うのか
質疑応答では、決済サービスの提供が遅れた理由などが問われた。青柳氏は、「決済サービスは社会インフラであり、セキュリティ、リスク管理などに対策をし、万全な体制にした。メルカリが抱えているユーザーもいるため慎重に取り組んだため」と説明した。
他社の決済サービスでは、ポイントなどで還元キャンペーンを行っている。このようなキャンペーンを実施するかどうかについては、「まずはメルカリとしてのサービス体験を大きな特徴にしたい。メルペイを使ってもらうきっかけのキャンペーンは検討していく」と説明した。
個人間送金への対応については、キャッシュレス推進のため、当面は決済サービスに注力していくと説明するにとどまった。また、支払い方法としてクレジットカードに対応するかについては、メルペイの支払いとして利用できるのは売上金と口座からのチャージで提供すると説明した。
メルカリの売上金をメルペイで利用することで、メルカリの中でお金が循環するようになっているが、外に出金された場合、メルカリとしてマイナスにならないかという質問に対して、メルカリ 代表取締役会長兼CEO 山田進太郎氏は、「メルカリでは販売手数料をもらっており、大部分は口座から出金もされている。ユーザーにとってはiDなどで売上金が利用でき、利便性が増すだけ。囲い込みというよりは、加盟店のとの接点を増やし発展を目指す」と語った。