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キャッシュレスの煩雑化に危機感、LINE Payとメルペイが“加盟店開放”で提携

 LINE Payとメルペイは、スマートフォン向けの決済サービスにおいて、ユーザーの相互乗り入れが可能になる“加盟店の開放”について戦略的提携を発表した。

加盟店の相互開放を発表したLINE Pay取締役COOの長福久弘氏(左)、メルペイ代表取締役の青柳直樹氏(右)

 今回の提携は、加盟店開放の取り組みを推進する、加盟店アライアンス「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」の第1弾という位置づけ。QRコードの規格や加盟店側の手数料などを含めて、 サービス自体は引き続き各社が独自の内容で提供する 一方で、加盟店アライアンスを拡大させることで、ユーザーの理解のしやすさ、加盟店の負担の軽減を図っていく。

 LINE Pay取締役COOの長福久弘氏は、現在の課題について「多数のキャッシュレス事業者が参入し、盛り上がっているが、乱立することで加盟店側の負担が増加、オペレーションが煩雑化し、一般ユーザー目線でも分かりづらい状況になっているのが実情」と指摘する。

 「このままではユーザー・加盟店が不在のまま、キャッシュレスという言葉だけが独り歩きし、キャッシュレスというものが、一時のブームとして終わってしまうという危機感を持っている」と長福氏は語り、「この状況に一石を投じるために、戦略的提携を行い、本質的なキャッシュレスの推進を共に行う企業」として、提携するメルペイを紹介した。

 長福氏は、両社はLINEとメルカリという豊富な顧客基盤を背景に、決済サービスをスマートフォン向けに最適化してサービスを提供していることを紹介した上で、キャッシュレスの普及を目的とした今回の提携では、加盟店の相互開放により、ユーザーがどちらの加盟店でもサービスを利用できるようにすることを発表した。

 加えて、加盟店側の導入・精算といった部分についてもワンストップで対応できるようにしていくことを明らかにしている。ここでは、クレジットカードの国際的なロゴのような、アクセプタンスマークを展開する方針にも触れられている。

 メルペイ代表取締役の青柳直樹氏は、「両社の提携は、ユーザーの混乱や加盟店の負担を無くしていく第一歩。ただ、それだけでは、真のなめらかな社会(※メルペイのコンセプト)は実現しない」として、両社で協議して「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」を設立するに至ったことを紹介した。「中立でオープンなアライアンスとして、他の事業者に対しても、加盟店の相互開放とアライアンスへの参画を呼びかけていく。モバイル決済の加盟店開拓に本気で取り組んでいる事業者が加わることで、より大きなアライアンスに発展していくことを期待している」と、青柳氏は、取り組みを業界の中に拡大させていく方針を語っている。

LINE Payの取り組み

メルペイの取り組み

サービスでは競合でも提携、その真意は

 長福氏は、「加盟店側が煩雑化し、ユーザーが分かりにくいということから、 本質的に、こういう取り組みをしたほうがよい 」という考えで、今回の提携に至ったとしている。

 サービス基盤を開発しペイメントゲートウェイとして提供する企業の中には、各社のモバイル決済をマルチで取り扱うものも登場しているが、長福氏は、そうしたサービスが登場することを歓迎する一方で、「事業者同士が組んだことが、今までになかった取り組み」とする。また、アライアンスへの加盟で事業者のコストがかさむような座組ではないとし、むしろ事業者の負担は軽減されるとしている。

 アライアンスの今後の拡大について、青柳氏は「今回の2社は表面的には競合であり、今までは踏み込めなかった」と振り返った上で、同社主催のカンファレンスでオープン化の姿勢を明らかにしたことで、提携の協議が進んだことを明かし、「競合なのに、こうやって(壇上で)並んでいる姿で、新しいチャプターを示せたのではないか」と語り、オープンな姿勢を示すことで、アライアンスの拡大に弾みを付けたいとした。

 今後は、PayPayや楽天Payをはじめ、すでに加盟店開拓を大規模に行っている事業者をアライアンスに呼び込めるかが課題になる。青柳氏は、「3社、4社と増えれば(相互開放される加盟店が大規模になり)、後から参画する事業者にはどんどんメリットが出てくる。すでに加盟店開拓を積極的に行っている事業者にも十分メリットは出てくるのではないか」との見方を示している。