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KDDI、伊豆大島で「しまものラボ」第3弾

(左から)ルクサ コーポレート・コミュニケーション部長の山中竜太氏、KDDI CSR・環境推進室長の鳥光健太郎氏、大島町 町長の三辻利弘氏、大島町 商工会会長の鶴崎勝彦氏、NPO法人 離島経済新聞社 代表理事の大久保昌宏氏、地元のゆるキャラ「あんこ猫」

 KDDIは、東京都大島町、大島町商工会、離島経済新聞社の協力の下、離島の地域活性化を目指す「しまものプロジェクト」の一環として行っている販売基礎講座「しまものラボ」を11月6日~2018年1月26日にかけて東京都大島町で開催している。

 これまでKDDIでは、2016年10月~2017年1月に鹿児島県喜界町で、2017年5月~8月に北海道利尻町で「しまものラボ」を実施してきたが、今回の大島町での取り組みはその第3弾となる。従来、講座への参加は有料となっていたが、今回は関係各所と調整の上、無料で受講できるようにした。

 今回からKDDI子会社で「au WALLET Market」「LUXA」といったショッピングサイトを運営するルクサと連携。商品ラベルの表示に関する留意点やau WALLET Marketへの出品時に求められる安全基準など、より実践的なノウハウを講座に盛り込んだ。

 また、au WALLET Marketでは常設販売を前提にした出品が求められるため、安定した生産・出荷体制を構築する必要があるが、LUXAにはタイムセールという形で良い商品を少量出品できる仕組みがあるため、これも活用できるようにする。

 離島からの出荷では、産地直送で個別に消費者に発送する場合のコストが高くなり、商品そのものの値段よりも送料の方が高くなってしまうこともある。そこで、ルクサの倉庫を利用し、産地からまとめて倉庫に発送し、そこを経由して消費者に届けることで発送コストを抑える仕組みも用意される。

 「しまものラボ」では、講座のほか、auスマートパスの商品モニターを活用したり、KDDI本社に努める従業員を対象にした試食アンケートを実施するなど、市場調査を行い、その上で効果的な販売施策を検討し、「au WALLET Market」等への出品を準備していく。

 3回目の「しまものラボ」を大島町で実施することになった背景について、KDDI CSR・環境推進室長の鳥光健太郎氏は「こうした取り組みは我々だけの思いではなかなかうまく進まない。やはり地元の意欲が無いとうまくいかない。大島町は、町役場をはじめ、商工会、事業者の皆様に強い意欲があり、これから町をもっと良くしたい、産品をもっと流通させていきたい、もっと自分たちの商品への声を聞いていきたいという声もあった。国が定めている離島振興対策実施地域ということもあり、東京都でも離島振興計画の対象地域でもあり、今回、大島町を選ばせていただいた」と説明する。

KDDI本社のカフェテリアで行われた試食会
発表会後に行われた講座の模様。試食会でのアンケートの結果などについて話し合われた

 12月4日に大島町役場で開催された発表会では、大島町 町長の三辻利弘氏が「伊豆大島は人口約8000人の首都圏に最も近い島で、島の経済は観光産業に大きく依存している。かつては第1次産業の就業者が50%以上を占めていたが、近年では10%を下回り、高齢化や後継者不足が深刻な問題になっている。一方で第3次産業は75%以上を占めており、恵まれた自然環境や豊富な資源を十分に活かしきれていない状況と言える」と島の現状を語った。

 その上で、三辻氏は「『しまものラボ』には、島内の地場産業と観光を組み合わせ、販売ルートの開拓、ブランド化など、第1次、第2次、第3次の相互連携を図り、地域産業の6次化の契機となり、人材育成に繋がることを期待している」と述べた。