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クアルコム、自動車向けに「Snapdragon Cockpit Elite」「Snapdragon Ride Elite」を発表

 米クアルコム(Qualcomm)は、自動車向けのプラットフォーム「Snapdragon Cockpit Elite」と「Snapdragon Ride Elite」を発表した。2025年に評価版がメーカー向けに提供される。

 「Snapdragon Cockpit Elite」は車内でのエンターテイメントや運転の補助などを実現するプラットフォームで、もう一方の「Snapdragon Ride Elite」は自動運転も可能にする。どちらも同じチップセットで処理される。

 車載用にカスタマイズされたOryon CPUを搭載。従来版と比べ、CPU性能は3倍に進化した。パフォーマンスを維持し、遅延なしで複数のアプリを同時に実行でき、ナビゲーションや車内エンターテイメント、通信システムを並行して処理できる。

 生成AIを処理するHexagon NPU(ニューラルプロセッサーユニット)は、テキスト・静止画・動画などに対応するマルチモーダルとなり、たとえばCockpitでは、先代モデルより12倍の性能を誇る。数十億パラメーターの言語モデルもサポートし、AIアシスタントに語りかけて応答してもらう、といった機能を実現できる。

 たとえば、自動車をメンテナンスする場合、車両マニュアルを学習済みのAIアシスタントで検索すれば、画面上のアラートもすぐ答えにたどり着けるという。

 また、ドライバーの好みなどに適応し、時間が経つにつれてオススメを提案してくれたり、ユーザーの行動時間にあわせて自動的に対応してくれたりする。たとえば、ドライバー以外の人が乗車しているとメッセージの通知が抑制される。

 オーディオ面では、方言を含むさまざまな言語をサポート。ゾーン・オーディオ体験を実現し、乗車する人にあわせてエンターテイメントをより良く楽しめるという。

 同乗者が座る位置にあわせ、もし誰かが「寒い」と言えば、その人の座る位置にあわせて空調をコントロールするといったことも可能になる。

 ディスプレイでは4K解像度のものを最大16台まで扱える。後部座席でエンターテイメントを楽しむだけではなく、運転する人に届ける情報も、より高精細で、優れたビジュアルに仕上げてくれる。

 「Snapdragon Ride Elite」では、自動運転において、車外を捉える1600万画素カメラや乗客を認識する赤外線カメラなど複数のカメラと、40以上のセンサーをリアルタイムで処理でき、標識の認識はもちろん、標識のない交差点やラウンドアバウト、レーンへの合流を実現する。暗い場所はもちろん、直射日光下などでも周囲を認識して対応できる。LiDARのような高解像度センサーのデータもサポートする。

 このほか、空港に何日もクルマを停める、といった場合でも、バッテリーが消費されすぎないよう、コアの使用率とアプリの実行時間のバランスを取る。

 運転に関わる点として、アクセルやブレーキの操作に関わる重要な変数を管理する「セーフティ・アイランド」というセキュアな格納場所が用意される。メインドメインから完全に分離され、許可された安全なプロセスだけがセーフティ・アイランド内のデータと相互にやり取りできる。