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KDDI、離島応援の「しまものラボ」を家島諸島で

 KDDI、NPO法人離島経済新聞社は、「しまものラボ」の第5弾を兵庫県姫路市の家島諸島で開始した。実施期間は9月26日~11月27日。

左から、KDDI 理事 関西総支社長 宇佐見典正氏、姫路市副市長 内海將博氏、姫路商工会 常任理事 小島雅也氏、離島経済新聞社 統括編集長 鯨本あつこ氏

しまものラボ とは

 「しまものラボ」は、離島の事業者を対象に、商品販売やPRのノウハウを伝授する取り組み。離島地域の活性化を目指す「しまものプロジェクト」の一環として実施されており、KDDIは社会貢献活動としてこの取り組みに参加している。

 2016年に開始され、これまで鹿児島県喜界町、北海道利尻町、東京都大島町、長崎県壱岐市で実施されている。

離島の課題解決、KDDIが支援

 離島地域の事業者には、独自の商品を作っても、都市部までの輸送コストが販売への壁となる。また、都市部でのアンケートやモニター調査なども難しく、商品PRにおいても不利になる場合が多いという。

 しまものラボでは、こうした離島の課題に、KDDIのリソースを活用。あわせて、auスマートパスでのモニター販売や、KDDI本社での販売会を実施し、購入者の声を集める。あわせて、事業者に対する販売基礎講座を2カ月間をかけて実施。商品の魅力的な伝え方などの販売ノウハウも伝授。離島の事業者の商品企画・販売をサポートする。

 また、ショッピングサイトの「au WALLET Market」や「LUXA」での販売の場を用意する。au WALLET Marketの商品は全国約2500店舗のauショップで案内されるため、全国へのPR効果も見込めるという。

人口減少に悩む離島

 今回の家島諸島は、瀬戸内海の東端、播磨灘の沖合に位置する諸島。家島、男鹿島、坊勢島、西島という4つの有人島を抱える。行政区分としては姫路市に所属し、姫路港から船で25分でアクセスでき、これまでの「しまものラボ」が実施された島中では都心部に一番近い立地にある。

家島諸島は瀬戸内海有数の漁獲量を誇る一大漁業地。しまものラボの参加事業者の多くは水産加工品を扱っている。

 一方で、長年島の経済を支えていた採石業、海運業、漁業という3つの産業のうち、前者2産業が衰退の途にあり、人口減少に悩んでいる。

 人口減少を食い止めるため、姫路市や商工会、島の観光協会などは観光誘致にも注力している。今回の「しまものラボ」の商品展開を通じて、島自体のPRにも繋げたい考え。

 姫路市副市長の内海將博氏は、こうした島が抱える課題を説明した上で、「事業者の方々が自分たちの魅力をこのプロジェクトを通して発見し、これまでにも増して頑張っていただきたい」と期待を示した。

マーケティング面の課題に答える

 26日、坊勢島の漁協にて「しまものラボ」の第1回目の講座が開催された。

 会場となった坊勢島は、漁業の島として知られている。約2300人の島民のうち、約7割が漁業に関わる仕事に就く。坊勢漁港は兵庫県下でも有数の漁獲量を誇り、サバ、シタビラメ、イカ、ハモ、シラス、イカナゴ、カニなど豊富な魚が水揚げされている。こうした地域の特性もあり、参加した事業者の多くは、しらす干しや缶詰などの水産加工品を持ち込んでいる。

 参加者から語られた悩みは、販路拡大の難しさ。「ホームページで通販をしているが更新するのがやっとの状況」といった声が聞かれた。インターネット上での販売に取り組むなど、それぞれの工夫を行っているものの、マーケティング面での課題を抱えているようだ。

 講師を務めるのは離島経済新聞社の統括編集長 鯨本あつこ氏で、テーマは「『商品情報』を通じて島を伝える方法を学ぼう」。Webサイト上での実践的な商品PRの方法などを紹介する内容だ。

 しまものラボでは今後、auスマートパスの「商品モニター」や、KDDI本社などで家島諸島の商品販売。購入者から寄せられた意見を読み解き、商品や販売方法を改良する方法を学んでいく。

 「しまものラボ」の終了後、希望する事業者がいる場合、au WALLET MarketやLUXAで家島諸島の商品が販売される。

坊勢島。急な坂道に多くの家が建ち並ぶ
島には3つの漁港があり、至るところに船が係留されている
港では仲買人の船を横付けして買い付けが行われる
水揚げされたばかりの新鮮な魚。台船を運営する仲買人「天晴(あっぱれ)水産」も、しまものラボの参加事業者だ
漁港の事務所には、しまものラボの告知ポスターが貼られていた
天晴水産が営む魚屋
魚屋でもいけすで販売されている
天晴水産のちりめんじゃこ。しまものラボで出品される予定だ
連絡船乗り場にある土産店の棚も海の幸で埋まる
坊勢漁業協同組合ののり。しまものラボでも出品される